“釣り人スイング”で知られるチェ・ホソン(46)が米ゴルフ界で注目を集めている。大会出場前から、彼の一挙手一投足が話題の中心になった。
米国男子ツアーの公式ホームページは2月6日(日本時間)、チェ・ホソンをピックアップして高い関心を示した。“釣り人スイング”が誕生した背景には、数奇な人生があると強調した。
浦項(ポハン)出身のチェ・ホソンは、家庭の事情で病院ではなく自宅で産まれた。水産高校在学中のマグロの解体実習で、右手親指の一部を失い、23歳のときに京畿道安養(アンヤン)のゴルフ場でアルバイトをし、雑誌を見ながら独学でゴルフを学んだ。
チェ・ホソンは「低下する柔軟性を補完するためには、動作が大きいスイングをしてこそ飛距離を伸ばせると考えた。打った後の大きな動作を通じて飛距離を伸ばすトレーニングをしていたら、今のスイングが作られた」と説明する。
彼のスイングは、インパクト後のフィニッシュまでの動作が一般的なゴルフスイングとは大きく異なる。ボールが飛んでいく方向に合わせて、体を前後にねじる独特の動作をするため“釣り人スイング”というニックネームがついた。
タイガー・ウッズやローリー・マキロイなど世界的なゴルファーが、チェ・ホソンのスイングに注目するのも、ゴルフの常識から外れるオリジナルティのためだ。
チェ・ホソンの独特のスイングは、相対的に低い筋力と柔軟性を克服するための努力の結晶といえる。チェ・ホソンは右手の親指が短いため、インパクト後にクラブをターゲット方向に振るときのグリップを掴む握力がどうしても弱い。またダウンスイング時も、右手に力が入りやすい。
クラブの回転力を制御する力が弱いため、インパクト後にそのままクラブが上に持ち上がり、自然とハイフィニッシュとなる。右手を強く使ってハイフィニッシュすると、ボールがフックする可能性が高い。それを調整するために、アドレスのときからターゲットより右に立ってスイングをするユニークな習慣ができた。
成人になってからゴルフを始めたので、幼い頃からゴルフをしている選手に比べて、柔軟性が落ちる。インパクト後のフォロースルー時に、右足が地面から落ちる理由だ。左足に作った壁を崩さないように左ひざを曲げた状態で、できるだけ耐えようとするため、上半身のバランスが崩れてダンスを踊るような動作が出る。
基本に忠実なスイングをする選手も、スイングのときに上半身のバランスが崩れると、フィニッシュで体が揺れる姿を見せることがある。チェ・ホソンは定型化されたフォームではなく、自分が最も快適なスイングで打球に一貫性を維持する方法を見つけたわけだ。
チェ・ホソンは2月7日(日本時間)に開幕した「AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ」に招待選手として出場し、初めてアメリカの舞台に立っいる。今大会を通じてチェ・ホソンの“釣り人スイング”は、「ゴルフスイングに定石はない」ことを証明することになるのだろうか。関心が集まる。
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