どんな選手でも不調に陥ることがある。重要なのは、そのスランプから脱出す期間だ。
韓国女子バレー、興国生命スパイダーズの美人セッターとして知られるイ・ダヨンは、その意味で、なぜ彼女がリーグトップの選手であるかを証明している。
去る第3ラウンドで、イ・ダヨンは短いスランプに陥った。外国人選手ルッツが負傷離脱したなか、興国生命スパイダーズの内部に“不仲説”まで浮上する悪材料が重なった。イ・ダヨンも雰囲気に飲まれるように、自らの役割を果たせなかった。
試合中も好不調の波があり、コンディションが悪化してウォームアップエリアにとどまることもあった。12月13日の韓国道路公社ハイパス戦を欠場して興国生命も連敗し、2位GSカルテックスとの差を縮められたりもした。
だがイ・ダヨンの不振は長くは続かなかった。彼女は第4ラウンドに入ってコンディションを回復し、実力を堂々と示している。
1月26日の2位GSカルテックスとの重要な直接対決では、6ブロックで得点を作り出して勝利の立役者となった。韓国Vリーグの歴代セッターが1試合に記録した最多ブロック数だった。さらに計4セットの間、47のトスを成功させ、イ・ジェヨン、キム・ヨンギョン、キム・ミヨンの攻撃力を引き上げた。
イ・ダヨンの活躍で興国生命は、第4ラウンド全勝を記録し、勝ち点でGSカルテックスを12も引き離して首位をキープした。独走体制を強固にした重要な試合だった。
その試合後、イ・ダヨンはインタビューを通じて涙を見せた。具体的な理由について言及はしなかったが、これまで心理的に大きな負担を感じていたことは明らかだった。
そもそもセッターは、バレーボールにおいて最も大きな責任を感じるポジションだ。セッターによってチーム全体の競技力が変わるため、簡単に批判の対象になったりもする。リーグトップレベルのセッターに成長したイ・ダヨンが耐えなければならない重圧でもある。
圧倒的な優勝候補とされる今季の興国生命にいては、なおさらだろう。キム・ヨンギョン、イ・ジェヨンに加え、イ・ダヨンまで揃っているだけに、優勝して当然だという反応が出てくる。逆にできなければ、相対的に多くの批判を受けなければならない。
今シーズン、イ・ダヨンは1セット当たり11.471回のトスを記録し、同部門1位となっている。
この日、涙を流したイ・ダヨンは、すぐに気持ちを切り替えたように笑顔を作ったままインタビューを終えた。スランプから脱出したことを感じさせるように、表情もすぐ明るくなった。
いつも好調というわけにはいかないが、トップレベルの選手は長いスランプに陥らない。まさにイ・ダヨンもそれを実行している。
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