12月9日、12~13日、「JR東日本カップ2020第94回関東大学サッカーリーグ戦」第14節延期試合と第21節の試合が行われた。
12月9日、明治大学と法政大学の第14節延期試合が行われた。試合はスコアレスドローで終わるも、両チーム監督が「いいゲーム」と評価する内容だった。
法政大学・長山一也監督は「明治さんとやるときは僕が言わなくても勝手に気合いが入る。大学でもトップレベルの試合だし、そこは僕自身も楽しみにして今日の試合に臨んだ。うちとしては最後のところのアイディア、クオリティーがちょっと低かったが、守備のところはすごく粘り強くやってくれて、ゼロで抑えたことは良かった。惜しいシーンもあったが、明治さんも粘り強く守備をしてくるので、0-0のゲームではあったが、外で見ていても緊張感のあるいいゲームだった」と総括した。
一方の明治大学・栗田大輔監督も「いいゲームをやっていたと思う。ラストの1本が通っていたら、パスが丁寧だったら決まっていた。そういうところが課題だったが、全体的には法政さんも、ものすごく気持ちが入っていたし、大学サッカーっぽいいいゲームだった」と評価した。
12月12日、桐蔭横浜大学と中央大学の試合が行われた。試合は前半31分、相手のコーナーキックからのカウンターで桐蔭横浜大学・山田新がドリブルで3人をかわしてゴールに流し込み先制。後半6分にも山田新がドリブルでPKを獲得し、それを自ら決め、後半40分には中野就斗のロングスローから加々美登生が決め、3-0で桐蔭横浜大学が勝利を収めた。
試合後、桐蔭横浜大学・安武亨監督は「我慢強く守備からしっかり入ろうという話をしていた。中大さんにずっとボール持たれたり、切り替えが速くて守備のところでやられたりしたが、守備をどっしり我慢強くやれば自分たちの時間が来るから、我慢強い守備からゲームを作ろうというプラン通りみんなが実践してくれて良かった」と試合を振り返った。
さらに、「うちの良さは押し込まれてもチャンスを作れるし、もちろん動かしながらも自分たちの特徴なのでチャンスを作れる。カウンターとポゼッションの両方の攻めのパターン持っているというのは、非常に強いと思う」と続け、特に1点目のゴールについて「3人突破した山田の個。チームとして彼をそういう場所に置いているというのはチームの戦術」と評価した。
続けて明治大学と駒澤大学の試合が行われた。試合は前半8分、明治大学・石井優輝の縦パスから小柏剛が決めて明治大学が先制するも、前半17分に駒澤大学・矢崎一輝の左サイドからのクロスを島崎翔輝が詰めて駒澤大学が同点に追いつく。明治大学は前半28分、コーナーキックから右サイドで住永翔が狩土名禅にあわせたクロスを上げ、それを狩土名禅がヘディングで決める。さらに前半37分、岡庭愁人の左コーナーキックから佐藤瑶大が右足で決め、明治大学が3-1のリードで前半を折り返す。
明治大学は後半7分にも岡庭愁人の右コーナーキックから蓮川壮大がヘディングで決めると、後半20分には持井響太が左サイドからドリブルで入り狩土名禅に送ったパスを狩土名禅が決め、5-1で勝利を収めた。
試合後、明治大学・栗田大輔監督は「駒澤さんも久しぶりの試合で、すごく難しいゲームだったと思う。セットプレーで点を取れたのが大きかった」と総括し、「今日は切り替えがとにかく遅かった」と課題を挙げた。
12月13日には神奈川大学と青山学院大学の試合が行われた。試合は前半14分に増村有哉の左コーナーキックから安松元気が決めて神奈川大学が先制するも、神奈川大学は前半43分にゴールキーパーの山野宗一郎が一発レッドカードで退場し数的不利となる。それでも1人少ない神奈川大学は後半も無失点で守り切り、1-0で勝利を収めた。
試合後、神奈川大学・大森酉三郎監督は、退場者が出て「1枚足りないなかで、前から行ってもしようがないので、1点取っていることもあり、最悪1-1になっても仕方ないと考え、ハーフタイムにしっかりとリトリートしたなかでの守備を中盤で作って、後半しっかりとやってくれた」と試合を振り返った。
さらに、「今までは選手たちが相手チームを分析してそれに対応して、守備的な流れながらもうちのゲームにしていくということをやってきたが、今日は選手たちがある程度判断しながらやらないといけなかったので、降格が決まった相手という要素はあるが、シーズンの終盤に自分たちで逞しくコミュニケーションとりながらできるようになったゲームだった」と評価した。
続けて、流通経済大学と関東学院大学の試合が行われた。試合は前半9分、流通経済大学・仙波大志の左コーナーキックを安居海渡がニアですらしたボールを永井颯太がヘディングで詰めて先制し、前半24分には関野元弥がゴール付近で相手からボールを奪いそのボールを受けた満田誠が決め追加点、前半28分にも佐藤響のドリブルからのボールを受けた満田誠が決め、流通経済大学が前半で3点をリードする展開となる。
関東学院大学は前半28分に左サイドから北村椋太が上げたボールを村上悠緋がゴール前で詰めていたことが相手のオウンゴールを誘い1点を返し、前半を3-1で折り返す。
関東学院大学は後半19分、鈴木友也の縦パスを受けた村上悠緋が決め、後半41分にも園田悠太からのボールで抜け出した村上悠緋がループで決めて同点に追いつく。さらに後半アディショナルタイム5分にはPKを獲得。村上悠緋がPKを蹴り、一度はゴールキーパーにはじかれるも、落ち着いて頭で詰めて逆転。関東学院大学が3点差をひっくり返し、4-3で勝利を収めた。
試合後、関東学院大学・石村大監督は「内容的にもワンサイドゲームになるくらいの差が生まれることも想定はしていた。選手には何発殴られても、一発でいいから殴り返しにいこうということを言って、そこだけは最後の90分までぶれずにやろうということだけは最後の最後まで確認した。1週間そういう話しかほとんどしてこなかった」と振り返った。
ハーフタイムには、「前半はじめに強烈な3発のパンチを浴びたが、流経は関東の2部のトップではなくて、日本の大学チームのトップチームだと思うので、そんな相手と公式戦でできるのは最高に幸せなことだし、それで途中で気持ちが折れるとか、途中で自分たちがファイティングポーズをとれなくなるということは、あまりにももったいなすぎるから、言ってきた通りに1発でも返しに行こう。前半1点返して1-3で折り返したが、そんな簡単にもう1点とれる保証もないし、もしかしたらあと倍くらいパンチ浴びるかもしれないけど、絶対最後の1秒まで戦う姿を持とう」と話したという。
逆転勝ちできたことについては「前節昇格が決まって、流経からすればインカレを見据えてとか、今までのリーグ戦とは違うモチベーションだったりした部分も少なからずあったと思う。前半3-0になって、そこまでほぼワンサイドゲームだったので、相手には隙もあったと思う。うちはチャレンジャーなので、相手がどういうメンバーであれ流経だし、昇格が決まって、今日はもしかしたら消化試合的な位置づけの試合だったかもしれないが、うちは本気で全力で勝ちにいこうと臨んだゲームだったので、そういうチームに公式戦で戦えて選手たちは本当に幸せな経験ができたのではないかと思う」と語った
一方の流通経済大学・中野雄二監督は、「こういうゲームを絶対やってはいけないなという注意をしていても、こういうゲームをやってしまうこのチームはまだまだダメ」と振り返った。
この試合のモチベーションについて、「昇格が決まってどういう心理状態で今日を迎えたのか。試合のモチベーションをどうやって作るのかは人の勝手。対戦相手がいて成り立つスポーツなのだから自分の勝手でやるべきではない。今日、相手の選手は0-3から4点取って逆転勝ちをした。相手の監督さんのハーフタイムの指示も聞こえてきた。“どんなにやられても、1点を取りにいけよ。このゲームの意味合いを考えろ”と。そういう思いを持って、優勝争いでも降格争いでもないゲームを、自分たちでしっかり構築して戦ったのは、相手の選手だった。うちの選手は3-0になったことで“俺たち勝てるよな”くらいの感じで、その結果、後半は得点も1点も取れない。4失点というのも今シーズン初めてだが、こういうゲームをやってしまうところに、まだまだこの選手たちには課題があるということを、このタイミングでわかったことが唯一の救い」と話した。
さらに「今日なんとなく3-1とか5-1とかで勝って全国大会に臨んだら、重要なゲームでこういう試合をやってしまったのではないか。人間というのは勝っているときほど謙虚さを持っていないといけない。先週、東洋に6点取って勝ったこととかが、何となく“俺たち力あるよね”っていう自信ではなくて過信になっているところの表れだった。試合が終わってからの雰囲気を見ても、なんか悔しさがないというか、照れ隠しというかそういう雰囲気があるので状況は良くないと思う」と続けた。
第14節延期試合、第21節の試合の結果は以下の通り。
第14節
【1部リーグ】
明治大学 0-0 法政大学
第21節
【1部リーグ】
早稲田大学 3-1 筑波大学
桐蔭横浜大学 3-0 中央大学
慶應義塾大学 0-1 専修大学
順天堂大学 1-2 立正大学
明治大学 5-1 駒澤大学
国士舘大学 0-1 法政大学
【2部リーグ】
日本大学 1-0 明治学院大学
神奈川大学 1-0 青山学院大学
立教大学 0-1 東京国際大学
流通経済大学 3-4 関東学院大学
産業能率大学 4-0 日本体育大学
(文=玉 昌浩)
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