11月28~29日「JR東日本カップ2020第94回関東大学サッカーリーグ戦」第19節が行われた。
11月28日に行われた神奈川大学と日本体育大学の試合は、前半10分に相手コートの高い位置で左サイドの神奈川大学・三輪翔真がボールを奪って⾓⽥薫平につなぎ、先制点を奪った。後半8分には右サイドのスローインから⾓⽥薫平が上げたボールを⾼橋勇利也がヘディングで決め、後半アディショナルタイム3分には三澤徹晃がダメ押しゴールを決めて、3-0で神奈川大学が勝利を収めた。
試合後、神奈川大学・大森酉三郎監督は勝因について、「今年昇格した関東という素晴らしい土俵で、来年首がつながるかどうか、まだわからない状況だったので、我々としては非常に危機感を持ってしっかりと練習から取り組んできた。相手は先週でもう降格はない形になったので、その辺の意識の差が今日の勝因じゃないか」と述べた。
得点については、「ハイプレスから手数をかけずにカウンターというところは、今週ずっと練習でやってきた。相手のゴール近くにボールがあるので、それを生かさない手はない。あとはスローインを含めて、セットプレーもしっかり準備しているので、そこからポイントを取れたことは選手たちも自信になるんじゃないかと思う」と振り返った。
続いて行われた流通経済大学と産業能率大学の試合は、前半30分にコーナーキックのサインプレーから佐藤響が決めて、流通経済大学が1-0でリードして前半を折り返す。後半33分にはコーナーキックのこぼれ球を安居海渡がコントロールして左足で決めて、流通経済大学がリードを広げるも、後半アディショナルタイム2分に産業能率大学・川名連介がドリブルからのシュートで1点を返す。それでも直後の後半アディショナルタイム3分に流通経済大学・永井颯太がドリブルからのシュートで再び突き放し、3-1で流通経済大学が勝利を収めた。
試合後、流通経済大学・中野雄二監督は試合展開について、「一般的にいえば2-0でゲームをしっかり締めて終わりにしなさいとなるが、もともとの考え方が次の点を取るために策を練っているので、守り切ろうとか逃げ切ろうという気がない。2-1になっても3点目を取りに行って取れるところにこのチームの特徴がある」と説明し、失点についても「3点目を取りにいこうというなかで、相手ボールを奪いにいったうえでの1失点なので、あまり悲観していない」と話した。
また、2点目を挙げた安居海渡については、「ああいう場面でシュートを打って決めるようになると、将来日本代表にも入っていけるのではないかと思う。あれだけの守備力があって、展開力もあって、フィジカル的にも強く、運動量もある。もし足りない部分があるとしたら、ミドルレンジからのシュート力。でも今日も、ああいうところでしっかり決めた。ああいうシュートがコンスタントにできるようになると、本当に将来ただプロに行くだけではなくて、プロの中でも中心として日本代表にも堂々と入っていけると思う」と評価した。
11月29日には、早稲田大学と中央大学の試合が行われた。試合は前半1分に早稲田大学・鍬先祐弥が先制点を奪い、前半19分には阿部隼人が追加点を奪って前半を2-0で折り返す。早稲田大学は後半6分にも水野雄太のゴールでリードを広げる。中央大学は後半アディショナルタイム2分に髙岸憲伸が1点を返すも、試合は3-1で早稲田大学が勝利を収めた。
試合後、早稲田大学・外池⼤亮監督は「今日のゲームの入りのように、もう一度走る部分だったり、相手に圧力をかけるところだったり、サッカーの一つの姿勢をもっとシンプルに追求しようということで、初めて4-4-2でやった。前線の小さな4人が特に頑張って、ダブルボランチもそこに対して機能していた。これまでの自分たちを否定するわけではないが、もう一度早稲田のウィークを見直して、自分たちが変わっていかなければいけない部分があった。そこにチャレンジして、今日を迎えて体現できた」と評価した。
また、監督が着用していたマスクに“Wチアーリーディング”とプリントされていたことについて、「応援部の監督さんから“これは早慶戦の野球の時につけていたマスクだから、これをつけていれば絶対に勝てます”と言われ、今日からこれをつけて勝てたので、これで引き続きいこうと思う」と説明した。
続けて、明治大学と順天堂大学の試合が行われた。試合は後半5分、順天堂大学・長倉幹樹が小林里駆につなぎ、小林里駆がキープして左の白井海斗に渡したボールを右足でダイレクトで決めて順天堂大学が先制するも、後半10分に明治大学・杉浦文哉が右サイドに展開し、木村卓斗のクロスを佐藤凌我がヘディングで決めて、同点に。しかし後半44分、後半の途中からトップにポジションを変えた小林里駆が決勝点を挙げ、2-1で順天堂大学が勝利を収めた。
試合後、順天堂大学・堀池巧監督は試合前に「攻守の切り替えのところをどうするか話した。相手にカウンターをさせない。逆にカウンターを狙うことを意識づけた」とし、先制点について「ボールを奪った後、長倉幹樹のサイドから中に入れて小林里駆のところでキープして、もう一回展開して白井海斗が最後に決めきるところは狙い通りだった」と語った。
また決勝点を決めた小林里駆については、「トップ下で先発し、だいぶ疲れていたけど、ああいうことができるから最後まで残した」とし、他にも、「寺⼭翼がワンボランチでバランスをとりながら、守備のところではヘディングで相当跳ね返したし、奪った後の展開も結構あった」と評価した。
一方の明治大学・栗田大輔監督は「あと5つ勝つとうちが優勝だから、選手には5勝0敗ということを楽しめるんじゃないかと伝えた。5勝0敗できるチームを学生が追求していかないといけない。今日もプロが決まっている選手が8人くらい出ているなかで、学生のサッカーではなく“大人のサッカー”を追求しなければと感じた」と語った。
さらに “大人のサッカー”について、「例えば仕事で給料をもらっている大人だったら、提示されたことに対して、その深みや本当の意味での細部のディテールをしっかりと捉える。ここは絶対やってはならないとか、絶対に外してはいけないとか、ここは絶対やるぞというのが、仕事には絶対にある。そこが学生にはまだまだわからない。気持ちだけに左右されたり、のりみたいになったりしてしまう」と説明した。
続けて、「例えば“頼むね”の一言で、大人だったら細かいことを言わなくても絶対にやるが、学生だと“頼むね”と言われても頼まれた側がまだまだ軽かったり、アウトプットされているものが低かったりする。Jリーグの選手だったら、“頼むね”と言えばきちっとやると思う。そろそろうちの選手たちも、より深く感じないといけない。残り5試合はそういった細部の繰り返しになる。僕が試合前に何も言わないで、“じゃー今日はこうやって勝ってね”、“頼むね”と言ったら、“はい、わかりました”というのがプロだと思う。そこまで行くメンタリティ、考える力、深さを練習のなかから、もっと意識して突き詰めていくことが大事だと思う」と語った。
最後に、「選手もみんな戻ってきたし、残りの5試合とインカレを含めて、チームがどれだけ伸びるのか、非常に楽しみ」と述べた。
第19節の結果は以下の通り。
【1部リーグ】
早稲田大学 3-1 中央大学
明治大学 1-2 順天堂大学
筑波大学 2-2 専修大学
国士舘大学 1-2 慶應義塾大学
【2部リーグ】
立教大学 0-0 明治学院大学
神奈川大学 3-0 日本体育大学
拓殖大学 2-1 関東学院大学
東洋大学 0-1 日本大学
流通経済大学 3-1 産業能率大学
東京国際大学 2-0 青山学院大学
(文=玉 昌浩)
前へ
次へ