パウロ・ベント監督率いる韓国代表は、オーストリアで行われたメキシコ代表、カタール代表との11月Aマッチ2試合を1勝1敗で終えた。
負傷や新型コロナウイルス感染者続出のアクシデントもあったが、最後まで日程を消化することができた。
ただ、惜しい点もあった。今回招集された25人から新型コロナウイルスに感染した選手を除いた19人の内、2人のセンターバックが唯一1分も試合に出られなかったのだ。
今回、韓国代表はDFラインを正常稼働できなかった。特に、代表主力センターバックのキム・ミンジェ(24、北京国安)、キム・ヨングォン(30、ガンバ大阪)、パク・ジス(26、広州恒大)らは、いずれも所属クラブの招集拒否で合流できなかった。
ベント監督は就任以来、後方からのビルドアップで攻撃を展開するサッカーを推し進めてきている。
そのため、オーストリア遠征では今季Kリーグベストイレブンのクォン・ギョンウォン(28、尚州尚武)と、守備的MFが本職でパス能力に優れる元アビスパ福岡ウォン・ドゥジェ(23、蔚山現代)のをセンターバックで起用。このコンビを2試合ともフル出場させた。
しかし、クォン・ギョンウォンもウォン・ドゥジェもパスミスを連発。ク・ソンユン(26、大邱FC)やイ・チャングン(27、尚州尚武)らGKの好セーブがなければ、大量失点してもおかしくない致命的なプレーも見られた。
かといって、ほかにセンターバックがいなかったわけではない。ベンチにはチョン・スンヒョン(26、蔚山現代)とチョン・テウク(23、大邱FC)がいた。
鹿島アントラーズでアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)優勝経験のあるチョン・スンヒョンは、現在所属する蔚山現代でも主力を張っている。今シーズンはKリーグで23試合に出場し、2得点を挙げた第24節にはMVPにも選ばれた。
その一方で、代表チームでは出場機会に恵まれていない。先月行われたU-23韓国代表とのスペシャルマッチ2連戦でも出場機会がなかったが、今回もついにピッチを踏むことはなかった。
今回初めてA代表に選出されたチョン・テウク(23、大邱FC)は、キム・ハクボム監督率いるU-23韓国代表で主力を張る194センチの大型センターバックだ。
最大の持ち味である空中戦だけでなく、足元の技術も決して悪くない。今年1月のU-23アジア選手権では、サウジアラビアとの決勝戦で延長後半にセットプレーから強烈なヘディングシュートを叩き込み、韓国を優勝に導いていた。
ベント監督がA代表で追い求めるパスサッカーに適しているかは不透明にしても、貴重な実戦の場でテストすらさせてもらえていなかったことは惜しい。
メキシコ戦では3枚、カタール戦では全6枚の交代カードを切ったベント監督だが、センターバックだけは変化を与えなかった。
チョン・スンヒョンとチョン・テウクを最後まで起用しなかったその選択が残念だったことは確かである。
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