“イ・ドングッ”というアイコンを失ったKリーグ、喪失感に沈む韓国サッカーの今と未来

2020年11月20日 サッカー #Kリーグ
このエントリーをはてなブックマークに追加

来シーズンのKリーグにイ・ドングッ(41)の姿はない。彼がいないという喪失感はすぐには消し去れないだろう。

【注目】元柏のハン・グギョン、“心が折れない”理由

イ・ドングッは過去10年間、Kリーグのアイコンとして第一線で活躍してきた。彼は韓国サッカー界において、実力とスター性を兼ね備えた数少ない存在だった。“Kリーグ”や“全北現代”をわからずとも、“イ・ドングッ”の名を知らない韓国国民はいないというほどだ。

事実、韓国でプロサッカー選手が大衆からの人気を得ることは難しいとされている。サッカー代表はどのスポーツよりも高い関心度を誇っているが、Kリーグの人気は遥かに劣るのが現実だ。Kリーグでいくら有名な選手であっても、一般の人にはまったく知られていないケースはままある。

オンリーワンだったイ・ドングッ

しかし、イ・ドングッは従来のKリーガー像とは異なるものだった。彼は特別ヨーロッパで成功したわけでもなく、ワールドカップで活躍して国民的スターとなったわけでもない。元来スター性のある選手ではあったが、サッカー選手は実力が伴わなければ人気を持続するのは難しい。

イ・ドングッが全北現代という1チームの枠を超え、Kリーグを象徴する選手になったのは、彼の持つ能力と人気が見事に比例したからだった。FWという目立つポジションであるだけに、メディアに露出される頻度が圧倒的に多く、芸能人のようにさまざまな媒体でよく見かける選手だった。今やイ・ドングッと彼の家族の一挙手一投足に、注目が集まる存在にまでなった。

全北現代とKリーグは、イ・ドングッを通じて多くの宣伝効果を享受してきた。全北現代はKリーグトップのチームとして数多くのスターが所属しているが、誰一人としてイ・ドングッの足元にも及ばなかった。

イ・ドングッの名前がプリントされたユニホームは、全羅北道(チョルラプクト、全北現代のホームタウン)で最も売れたアイテムだ。Kリーグも彼のブランド価値を利用して、数多の活動を行ってきた。メディアへの露出やイベントが行われるたびにイ・ドングッは欠かせない人間だった。

自身のユニホームを持つイ・ドングッ

イ・ドングッに代わる“ニュースター”は?

イ・ドングッが引退した今、全北現代とKリーグは彼の代わりとなるニュースターを見つける必要がある。キ・ソンヨン(31、FCソウル)、イ・チョンヨン(32、蔚山現代FC)のように、かつてヨーロッパで成功を収めてKリーグへと凱旋したスターはいるものの、彼らはストライカーではないので、インパクト面でイ・ドングッと比較するのは難しい。

全北現代関係者は「(ニュースターの)選択肢は現状ないに等しい。これからも出てこない可能性もある。最近の若手で実力のある選手たちは、すぐにヨーロッパへと移籍する。全北現代はもちろん、Kリーグでもイ・ドングッほどのカリスマ性を持った選手は、再びは出てこないだろう」という現実的な観測を口にした。

Kリーグもアイコン的存在だったイ・ドングッに代わり、リーグを代表するスター選手の誕生を待つしかない状況だ。

韓国サッカー連盟は次代のスター候補として、オリンピック代表メンバーに期待している。ソン・ミンギュ(21、浦項スティーラーズ)やチョ・ギュソン(22、全北現代モータース)、チョン・スンウォン(23、大邱FC)など、韓国国内のスター性を備えた俊英たちが、2021年開催予定の東京五輪で頭角をあらわし、Kリーグに新しい風を吹き込んでくれることを望んでいる。

連盟の関係者は「イ・ドングッが抜けた穴は非常に大きい。次世代がその穴を埋めてくれることを願っている。来年にはオリンピックもあるので、それが良いきっかけとなればいい」と今後の展望を語った。

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

PHOTO写真

TOPIC「Netflix韓流トリオ」特集