「明るく快活でチームメイトとも馴染んでおり、私がスンウに対して持っていた先入観と違った」
振り返ればAFC U-16選手権2014の北朝鮮戦で、韓国と北朝鮮の選手の間で言い争いが起こった際も、世間一般のイメージとは反対に、ケンカに参加するのではなく自ら仲裁役に回っていたイ・スンウ。
同大会で得点王とMVPを獲得したときも「重要なのはチームの優勝なので、自分が得点王をもらったことなどに関してはまったくうれしくない。悔しさしかありません」と、チームを第一に考える姿勢を示している。
エピソードは他にもある。
現在は黒髪のイ・スンウだが、かつては派手な色に染めた髪がトレードマークだった。そして、そこにも何かと雑音が集まっていた。
「サッカーはチーム競技なのに、一人で目立とうとしている」「大人の前だというのに礼儀がなっていない」などと批判を受けることも少なくなかった。
本人は「韓国に帰るときは新しい覚悟をする思いで髪を染める」と話すだけで、非難の声は高まるばかりだった。
だが後に、髪を染めたのは高齢の祖母の目が悪くスタジアムで自分をすぐに見つけられるようにするためだったことを関係者が明らかにすると、評価は180度変わった。
しかもピンク色は祖母の好きな色だったこともわかり、イ・スンウは家族思いの魅力的な選手として知られるようになった。
もっとも、大事にしているのは祖母だけではない。イ・スンウの兄であるイ・スンジュンも、弟と同じくサッカー選手として活躍したが、イ・スンウはそんな兄の影響でサッカーを始めたこともあり、兄弟の仲が良いことは有名な話だ。
イ・スンウは「いつか兄とともに韓国代表に選ばれ、兄が僕にアシストして僕がゴールを決める。そんなかっこいいシーンを演出したい」と夢を語ったこともある。
残念ながら兄は選手を引退してクラブ運営に回ってしまったため夢が叶うことはなかったが、イ・スンウの兄弟愛が垣間見えるエピソードだといえるだろう。
ちなみに、イ・スンウには意外な趣味があるという。