メジャーリーグ(MLB)労使協定の規定上、満25歳以下の海外選手はフリーエージェント(FA)契約を結ぶことができない。
いくら実力が優れていても、満25歳以下であれば低年俸から始めるしかない。海外出身の満25歳以下の選手がFAになるには、MLBで通算5年プレーしなければならない。
3年前の大谷翔平(26)がそうだった。去る2017年12月、当時23歳の大谷は現所属のロサンゼルス・エンゼルスと契約。2018シーズンの年俸は54万5000ドルと、メジャーリーガーの下限だった。
年俸以外にも契約ボーナス230万ドルが支払われ、前所属球団の北海道日本ハムファイターズには2000万ドルの譲渡金が支払われた。とはいえ、当時の大谷の価値と比べれば明らかに低い金額だった。
そして今、MLBの各球団はキム・ハソン(25、キウム・ヒーローズ)の渡米を待っている。
もちろん、関心度の差は大きい。キム・ハソンは、大谷のように160キロを投げられる投手ではない。大谷は“ベーブ・ルースの再来”とまで呼ばれるなど、渡米以前から多くの注目を集めていた。
それでも、キム・ハソンは大谷に劣らない長打力を誇るだけでなく、守備の実力も魅力的だ。
『ジ・アスレチック』のキース・ロウ記者は、遊撃手や三塁手、二塁手をすべてこなせるユーティリティープレーヤーとして、キム・ハソンが来シーズンのMLBで400打席以上消化できるものと予想した。
近年のMLBにおいて、ユーティリティープレーヤーはただのバックアップではない。空いた席を探すのではなく、野手陣の構成に合わせ、最高のラインナップを構想するために必要な万能キーに近い。
キム・ハソンとしては、ここ数年で本職の遊撃手以外に三塁手でもプレーした経験が、MLBで成功するための大きな武器となるはずだ。
何より、キム・ハソンは先月17日に満25歳を迎えたことでFA契約が可能となった。自分自身の手で、オファーを選択できるようになった。
今シーズン、キム・ハソンはキウムで5億5000万ウォン(日本円=約5500万円)の年俸をもらっていた。もしキム・ハソンが大谷同様、満25歳以下でMLBに進出していれば、年俸額は韓国プロ野球時代とそう変わらなかったはずだ。税率の高い地域であれば、手取りはもっと少なかったかもしれない。
アメリカ現地メディアは、キム・ハソンが年平均700万ドルから900万ドルの契約を締結するものと予想している。つまり、今シーズンの年俸より、14倍以上も額が上昇するものとみられる。
根拠のない過大評価ではない。MLB球団の立場としても、キム・ハソンの年齢は魅力的だ。
韓国プロ野球のレベルはマイナーリーグAAAとAAの中間地点と言われている。ただ、キム・ハソンの今シーズン成績はマイナーリーグに代入してもコールアップ(昇格)1番手だ。それに、実力を備えたユーティリティーな内野手として、MLBの舞台でさらに成長する余地もある。
キム・ハソンのMLB行きは、キム・ハソン自身とMLB球団双方にとって、さまざまな面で価値のある挑戦と言える。
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