韓国アイスホッケーは過去へと巻き戻ってしまうのだろうか。
2018年の平昌五輪開催直前、アイスホッケー世界選手権の舞台で新興勢力として名をはせていた韓国アイスホッケーが危機を迎え、衰退の一途をたどっている。
第65回全国アイスホッケー選手権大会が行われている安養(アニャン)室内リンク場。10月12日に行われたアニャンハルラとデミョンキラーホエールズの一戦は、国内屈指の強豪同士による直接対決だった。
実業団チームとしてはハイワンを含む3チームだけだが、アニャンとデミョンは新型コロナウイルスにより開幕できずにいる、アジアリーグアイスホッケー出場チームでもある。また、同リーグではプレーオフに進出し、日本やロシアの強豪たちと競った経験もある実力のあるチームだ。
しかし両チームの実力は、これまでよりもはるかに低下した。高さだけでなくスピードもこれまでアジアリーグで見せていたレベルとはかけ離れていた。
同試合でアニャンはDFの4人が消耗しながら出場した。アイスホッケーは通常、DFラインが少なくとも6人(2人1組が3組)必要なのだが、わずか2組4人で2日連続の試合に臨んだ。
デミョンも決定的なチャンスで一発を決められるストライカーがおらず、虫の息だった相手DF陣から1点も取れずに完敗した。
弱体化の原因として、オリンピック前に帰化した選手たちが不在だったことが挙げられる。ブロック・ラドンスキーはオリンピック直後に引退したが、アニャン所属のマット・ダルトン、エリック・リーガン、アレックス・プラントと、デミョン所属のブライアン・ヤング、マイケル・スウィフトが見当たらない。彼らは平昌五輪の直前に韓国国籍を取得した選手だ。
彼ら5人がいなかった理由は大きく2つ。新型コロナの影響でアジアリーグが開幕されていないことと、チームの経済的困難によるものだ。
アニャンのヤン・スンジュン団長は、「今季のアジアリーグ開幕が無期限延期により3人の選手がチームに合流できなかった。11月から大卒予定者が合流すれば、正常に運営される」と話した。
デミョンのイ・ギワン団長は、「ご存じの通り、私たちの会社は観光事業が主力事業だ。今年は観光業界が大打撃を受け、多大な人員を削減しながらも、チームを維持している。本当に難しい状況だ」とした。
つまり多額の費用がかかる二重国籍選手を連れて来ることができない状況なのだ。デミョンはケビン・コンスタンチン監督が「アジアリーグが開幕されないのであればアメリカにいる」という意思を明らかにし、代わりにキム・ボムジンコーチがベンチに立っている。
また、平昌五輪誘致をきっかけに2003年に創設されたハイワンアイスホッケーチームが2018年にチームを解体したことも原因だ。ハイワンはチーム解体の際に批判が殺到すると、国内リーグ限定の参加を条件に、再びチームを作った。だが年間予算は約10億ウォン(約1億円)と大幅に削減した。
そして現在、韓国のアイスホッケーチームは事実上、2チームしかない状況である。
日本アイスホッケーは1998年に行われた長野五輪以降、実力が急降下した。不動産価格の暴落に続く経済難により、6チームが所属していた日本リーグが解散。近年は韓国にも押される状態だ。
平昌五輪後もアイスホッケーの発展に力を注いだ韓国(世界ランキング18位)は、日本(24位)も未達の世界選手権大会で、トップディビジョンに進出している。
アニャンのジョン・モンウォン会長(韓国アイスホッケー協会会長)は、外国為替危機の影響でグループが困難な時期でもチームを維持したほどホッケーへの愛が格別だ。今回の大会でも試合後、直接選手に授賞していた。
韓国アイスホッケー協会は新型コロナにより再び困難に直面している現状で、国内リーグを開幕し競技力を維持しようと努めているが依然として力不足であり、周囲の助けを必要としている。
韓国アイスホッケーは、“打倒・日本”を掲げ多大な努力をしてきた。しかし今の状況が続けば、来年の世界選手権大会において下位ディビジョンへの降格は火を見るよりも明らかだ。
2022北京五輪もそう遠くはない。韓国アイスホッケー界は過去に“退化”してはならない。
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