キム・セヨンはいつも大会最終日に赤いズボンを履く。しかも、劇的な逆転優勝を演出する機会が多いことから、“逆転の女王”や“赤いズボンの魔法使い”といったニックネームが付けられている。
10月12日(日本時間)、米ペンシルバニア州ニュータウン・スクエアのアロニミンクGCで行われた米国女子ツアーのメジャー大会「KPMG女子PGA選手権」最終ラウンドに、キム・セヨンはやはり赤いズボンを履いて臨んだ。
「赤いズボンを履けば心が楽になる」というキム・セヨンは、最終ラウンドでボギー無しの7バーディを記録する“魔法”を演出。過去6年間で通算10勝を収めてきながらメジャー大会と縁が無かった彼女はこの日、攻撃的なプレーで首位を走りぬけ、悲願の“メジャークイーン”に輝いた。
今大会、通算14アンダーの「266」をマークしたキム・セヨンは、粘り強い追撃を見せたメジャー大会通算7勝の“ゴルフ女帝”パク・インビを5打差で振り切り、優勝賞金64万5000ドルを獲得した。
キム・セヨンは初のメジャー制覇ながら、昨年11月の「CMEグループ ツアー選手権」以来11カ月ぶりに、通算11回目のトロフィーを手にした。
今回のキム・セヨン優勝は、韓国勢全体で見ると今シーズン4勝目だ。メジャー大会に絞れば、先月の「ANAインスピレーション」を制覇したイ・ミリムに続く2連勝となった。
通算7アンダーの首位で最終ラウンドを迎えたキム・セヨンの競争相手は、ブルックス・ヘンダーソンやアンナ・ノルドゥクビストではなく、同国の先輩パク・インビだった。
首位3打差の4位でスタートしたパク・インビは、第1ホール(パー4)からバーディを奪うなど追い上げを見せ、キム・セヨンと引けを取らない戦いを繰り広げた。一時は畑岡奈紗の猛追もあったが、優勝争いは事実上キム・セヨンとパク・インビの2人に絞られた。
パク・インビの追撃は恐ろしかった。キム・セヨンが6番ホール(パー4)で難しい傾斜のパットを決め、逃げ切りを図ったが、パク・インビも7番ホール(パー4)で応酬し、2打差のけん制を続けた。9番ホール(パー5)では、キム・セヨンがサードショットをカップ1mに寄せて再度リードを広げたが、パク・インビが12番ホール(パー4)でバーディを奪ったことで、2打差の追撃が続いた。
しかし、キム・セヨンが13番ホール(パー4)、14番ホール(パー3)と連続でバーディを奪ったことで、パク・インビも結局は追撃の力を失ってしまった。
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