先週末行われた韓国Kリーグ1(1部)第24節で、浦項スティーラースのGKカン・ヒョンム(25)は、対戦相手の全北現代モータースから20本以上ものシュートを打たれながらも、一度もゴールを割らせない活躍を披露した。
数回あった決定的なシュートもすべて防ぎ、リーグ3連覇中の全北現代相手に1-0で勝利を収める決定的な役割を果たした。
同日行われた他試合でも、釜山アイパークのGKチェ・ピルス(29)が、ナイスセーブの連発で降格危機に瀕するチームを救った。
1失点こそ喫したが、ディフェンスのミスから生まれたものであるため、事実上無失点に近いパフォーマンスを見せたといっていい。試合も、2-1で釜山が勝利を収めている。
彼ら2人のGKは、疑いの余地なくそれぞれの試合でベストパフォーマンスを発揮した選手だった。
しかし、韓国プロサッカー連盟が選定した各試合のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に、カン・ヒョンムとチェ・ピルスの名前は無かった。彼らの代わりに選ばれたのは、それぞれの試合で得点を決めたソン・ミンギュ(21・浦項スティーラース)とパク・ジョンウ(31・釜山アイパーク)だった。
連盟が毎試合終了後に発表するMOMは、韓国サッカーファンからすればあまり共感を得られないものだ。というのも、大半がゴールを決めた選手に限られるからだ。
実際、第24節に行われた6試合では、いずれもゴールを決めた選手がMOMに選ばれた。
この選出基準が必ずしも間違っているわけではない。だが、仮に得点者よりも際立った活躍を見せた選手がいても、“ゴール”という結果が無ければMOMに選ばれにくいことが現実であり、問題だ。
今回のカン・ヒョンム、チェ・ピルスのケースこそ、まさにそうだろう。
とあるクラブの関係者は「事実、クラブや選手の立場としては残念な点が多い。MOMに選ばれることは選手個人にとって大きな意味を持つが、現時点では実際の活躍が反映されていないという認識が強い。知り合いの間では、(MOMに対し)それほど権威を感じていもいない」と述べた。
MOMの選定において得点の有無が過度に反映される理由は、試合監督官1人の判断に依存されるのが大きい。
監督官は、スタジアムの状態や気象状況による試合開催可否、出場選手の承認、安全及び秩序維持など、試合の総括を監督する機能を果たす。試合進行に対するすべての責任を負う立場なので、あらゆる面で気を使わなければならない部分が多い。
そのため、完全に試合だけに集中し、選手のプレーを観察することが難しいのだ。
このように、試合を詳細にチェックできなかった監督官がMOMを選定するのだから、結果的にゴールという単純な記録を重視するしかない。これは監督官個人の問題というより、システム自体に限界があるものと見るのが良いだろう。
選手の立場としては、MOMに選ばれることはモチベーションにつながり、自身の価値を評価する貴重なキャリアとして活用できる。
だからこそ、MOMを選ぶのならば最大限多くの人から共感を引き出さなければならない。そのためにも、選定方式の変化が求められる。試合後、監督やクラブ関係者、あるいは解説委員など、現場で試合を見守った人からMOMを推薦してもらえば、多少は公平性を高めることができるはずだ。
あるクラブ関係者は、「できれば変化を与えてもらえると嬉しい。監督官1人が評価する方式には限界がある。MOM選定が共感を得られれば、クラブはより積極的に選手を広報し、知らせることができるだろう。MOMの権威がより高まってほしい」という願いを伝えた。
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