まさにワールドクラスだった。
“記録の男”ソン・フンミン(トッテナム)が、イングランド・プレミアリーグで自身初のハットトリックを達成、1試合4ゴールと爆発してチームを救った。
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ソン・フンミンは9月20日(日本時間)、英サウサンプトンにあるセント・メアリーズ・スタジアムで行われたプレミアリーグ第2節サウサンプトン戦に出場し、1人で4ゴールを記録し、チームの5-2の逆転勝ちを導いた。
ソン・フンミンは飢えたライオンのように、サウサンプトンのゴール前に走り込み、短時間でゴールを量産した。0-1でリードされた前半ロスタイムのゴールを皮切りに、後半2分、19分、28分と、4ゴールを記録するまでに30分もかからなかった。
トッテナムは昨シーズン、クリスティアン・エリクセンがクラブを去り、デレ・アリが不振に陥ったことで、中盤の創造的な攻撃ルートが事実上、崩壊した。そのためソン・フンミン率いる左の攻撃と、右ウィンガーのルーカス・モウラ、フルバックのセルジュ・オーリエを前進配置した非対称戦術など、サイド中心の解決策を探した。
新シーズンも大きな枠組みの変化を感じることが難しかった。その結果、エヴァートンとのプレミアリーグ開幕戦では、サイド攻撃を封じ込められながら0-1で敗れた。第2節のサウサンプトン戦も同じだった。トッテナムはサウサンプトンのサイドの防御と抜け目のないカウンターに苦戦し、前半32分に先制を許した。
流れを変えたのは、ソン・フンミンの“速度”だ。
前半中盤以降、ワントップのハリー・ケインが2列目まで下がって相手DFを集め、ソン・フンミンが武器であるスピードを生かして裏のスペースを狙った。前半ロスタイム、カウンターの場面でケインがゴール前に向かって蹴ったボールはやや長めだったが、ソン・フンミンが追いつき、右足シュートで同点ゴールを決めた。
その後の3ゴールも、ハリー・ケインが下がった位置からソン・フンミンの速度に合わせて的確なパスを出し、生まれた。
ソン・フンミンは余裕のあるボールタッチから相手GKの動きを見て、“ワンシュート・ワンゴール”の決定力を誇った。サウサンプトンはソン・フンミンの速度と決定力を理解しながらも、まったく止めることができなかった。トッテナムが誇る“ソン・ケイン”のコンビプレーが絶頂に達した。
毎シーズン、プレミアリーグで新しい歴史を塗り替えてきたソン・フンミンは、過去2013年3月2日のノリッジ・シティ戦でハットトリックを記録した香川真司(マンチェスター・ユナイテッド所属)を越えて、アジア人選手の1試合当たり最多ゴール(4ゴール)記録を作成した。
またソン・フンミンは、特定の選手(ハリー・ケイン)からすべてのアシストを受けて4ゴールを決めた、初のプレミアリーグ選手となった。2003年5月、アーセナルのフレドリック・ユングベリがハットトリックを達成したとき、ティエリ・アンリがすべてのアシストを記録したことがあるが、計3ゴールだった。
ソン・フンミンのハットトリック達成は、クラブ競技では通算4回目、韓国代表のAマッチを含めると、5回目だ。
最初のハットトリックは、2013年11月9日、ドイツ・レバークーゼン時代にハンブルクを相手に達成し、2回目は2015年2月14日のヴォルフスブルク戦(4-5敗)。同年9月3日のラオスとワールドカップ予選(8-0勝)ではAマッチ自身初のハットトリックを記録している。トッテナム入団後は、2017年3月12日にミルウォールFCとのFAカップ戦(6-0勝)で初めて3得点を決めた。
そして今回、サウサンプトンを相手に、夢に描いたプレミアリーグ自身初のハットトリックの喜びを味わった。そして欧州リーグ通算98ゴール目を達成し、彼の“ロールモデル”であるチャ・ボムグンがドイツ・ブンデスリーガで達成したアジア選手ビッグリーグ通算最多得点記録とも並んだ。
個人記録以上の意味も込められている。トッテナムは試合序盤、逆転の方法が見つからず、もし敗れていれば長期的な不振に陥るところだった。この試合もそんな流れだったが、ソン・フンミンの能力で逆転に成功し、彼がトップクラスのFWであることが再び証明された。
最近、レンタルでトッテナムのユニホームを着ることになったガレス・ベイルとのシナジー効果を、さらに期待できることも肯定的だ。
ソン・フンミンは昨年12月の70m独走ゴールで世界中のサッカーファンたちの脳裏に“ソン・フンミン”という名前を刻み、昨シーズンはアジア人初のプレミアリーグ“10ゴール10アシスト”を達成して価値を高めた。毎シーズン進化するソン・フンミンが今季、どれほど興味深いシーンを作り出すのか、楽しみだ。
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