国軍体育部隊傘下のサッカーチームである尚州尚武(サンジュ・サンム)FCの“ラストダンス”が、いつになく華麗だ。
尚州尚武は第21節までを終え、Kリーグ1(1部)で12チーム中3位に位置している。11勝5分5敗で勝ち点38を記録し、上位をキープし続けている。
2020シーズンも終わりが近づいているが、尚州尚武の勢いは衰えることを知らない。
尚州尚武は直近4試合で3勝1分と無敗。主力選手転役後、より一層上昇傾向に乗っているのだ。
9月15日、尚州尚武はアウェーでの光州(クァンジュ)FCでも0-1と辛勝を収めた。先月末、チームをけん引したハン・ソクチョンやカン・サンウなど中核を担う選手が転役したことでチーム力低下もささやかれたが、その逆の方向に向かっている。尚州尚武はすでに、ファイナルA(上位グループ)進出を確定している。
今の雰囲気であれば、尚州尚武は去る2011年の創設以来、史上最高成績を記録するものとみられる。
尚州尚武の歴代最高成績は、2016シーズンの6位だ。当時は38試合で12勝7分19敗の勝ち点43を記録した。今シーズンは現時点で6位と勝ち点14差も離れているため、史上最高成績更新の失敗を懸念する必要は無い。
尚州尚武にとって、この先は自身との戦いとなるといっても過言ではない。たった21試合を行っただけだが、残り勝ち点5を積み上げることができれば、歴代最多勝ち点も記録することになる。
前身の光州尚武時代(2003~2010年)の成績を含めても、1部リーグでの順位は今シーズンが最も優秀である可能性が高い。
尚州尚武は、2021年から金泉(キムチョン)尚武に生まれ変わる。そのため、“尚州”の名がクラブ名に入るのは今年が最後だ。尚武は、Kリーグ2(2部)優勝や1部昇格・降格など、喜怒哀楽をともにした尚州との別れが近づいている。
尚州市は当初、市民クラブの創設を目指していたが、市の都合によって計画は霧散した。当面は、尚州市を本拠地に据えたプロサッカーチームは見られなくなる。
尚州市にとっても尚武にとっても、今年は特別なシーズンであることは間違いない。
尚州尚武は本拠地移転のため、今シーズンの成績と関係なく来シーズンのKリーグ2降格が確定している。いくら今年の成績が優れていても、来シーズンは1部で戦うことができない。
選手の立場からすればモチベーションが落ちても仕方ない環境ともいえるが、プロ意識を発揮しているからこそ好成績を残している点も注目すべき部分だ。
クォン・ギョンウォンやムン・ソンミンら韓国代表クラスの選手がいることも事実ではある。だが、かつて尚州尚武はもっと豪華なスカッドを構築したこともあった。
それだけに、単に選手個人の能力だけでここまで来たとは言い難い。選手たち自身の意思と、チームを率いるキム・テワン監督の指導力が合わさった結果だ。これらが、尚州尚武の“ラストダンス”をより輝かせる背景といえる。
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