韓国Kリーグ史上初の4連覇を狙う全北現代モータースが、ここに来て大きく揺らいでいる。
全北現代は9月5日、炭川総合運動場で行われたKリーグ1(1部)第19節の城南FC戦で0-2の完敗を喫した。1-2で敗れた前節の江原FC戦に次ぐ2連敗だ。
全北現代がKリーグ1で連敗したのは2017年5月3日以来、約3年4カ月ぶりのことだ。
同じ連敗ではあるが、ダメージは今回の方がより大きい。2017年当時はシーズン序盤だったこと、試合数が今年よりはるかに多かったこともあり、挽回する機会が十分にあった。実際、同年の全北現代は無理なくリーグ優勝を獲得している。
だが、今回は違う。22試合制で行われる今シーズンのKリーグ1の正規ラウンドはもう3試合しか残されていない。正規ラウンド後に行われるファイナルラウンド5試合を含めても、残り8試合だ。
2連敗の全北現代は勝ち点41にとどまり、首位を走る蔚山現代FC(勝ち点46)とさらに距離を離すことになってしまった。
急ブレーキの大きな要因には守備の崩壊を挙げられる。
全北現代は今シーズン、第17節まで11失点にとどまり、一試合当たりの失点数もわずか0.64点に過ぎなかった。強固で隙の無い組織的な守備によって、リーグ最低失点チームの座を守り抜いていた。
だが、全北現代は直近2試合で計4失点を記録。失点率も約3倍に急上昇している。
元アルビレックス新潟の韓国代表左サイドバックであるキム・ジンスを放出したことで、災いを招いてしまった格好だ。
キム・ジンスは全北現代の攻撃を担うキープレーヤーでありながら、守備の中核でもあった。積極的なプレーと知能的な守備によって、4バックをより堅固なものにした頼もしい選手だった。
そのキム・ジンスが抜けてから、全北現代の守備のバランスは崩れている。城南FC戦の1失点目も、相手の右サイドからのシュートを防げなかったことが一次的な原因だった。キム・ジンス退団後、攻撃力に優れるイ・ジュヨンが2試合連続で先発起用されているが、守備組織は思うように整えられていない。
2試合でわずか1得点の貧弱な決定力も、結局は守備と関係している。
Kリーグの大半のチームは全北現代相手に先制後、ひとまずラインを下げて守備を構築するカウンター戦術を敷く。こうなると、国内屈指とも呼ばれる全北現代の攻撃陣も苦戦せざるを得ない。城南FC戦では今夏新加入のグスタヴォとモドゥ・バーロウが後半から投入され、巻き返しを目指したが、結局は城南FCの守備を破ることはできなかった。
逆に、カウンターによってさらに1失点を許してしまうなど、守備の崩壊を露呈してしまった。城南FCの退場者発生で数的優位も得たが、最後まで逆転することはできなかった。
正規ラウンド第21節の蔚山現代FCとの直接対決で勝利しても、勝ち点差的に全北現代の逆転は不可能だ。その点で、今回の城南FC戦での敗北は致命的だったといえる。
4連覇に赤信号が灯った全北現代にできることはただ一つ。残りの試合で最大限多くの勝ち点を得て、ファイナルラウンド含む蔚山現代FCとの残り2回の勝負にすべてをかけなければならない。蔚山現代を破る以前に他チームとの対戦で負けないことが全北現代には求められている。
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