十数年も苦楽をともにしたにもかかわらず、いつからかお互いの距離が遠く離れてしまえば、決別は見苦しい格好となりかねない。
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ユース時代含め約20年もの間、“ワンクラブマン”としてスペインの名門バルセロナの全盛期を導いてきたリオネル・メッシ。彼が情熱をかけてきたクラブと別れを告げる姿に、多くのサッカーファンは切なさと悲しさを感じたことだろう。
そのようにしなければならなかった理由は何だろうか。バルセロナ一筋の大スターが、たった一度のファックスでチームを去ると告げたほどだ。
バルセロナのサポーターはもちろん、メッシと同じ時代を生きることを大きな幸運と感じていたはずの世界中のサッカーファンにとっても、今回の件はショックに違いない。これがプロスポーツの世界の非情さなのか。
17歳だった2004年にバルセロナのユニホームを着てスペインリーグデビューを果たして以来、16年間で731試合に出場して634ゴール(一試合当たり0.867ゴール)を決め、ハットトリックも驚異の36回を記録したメッシ。
彼にとって、UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝でバイエルン・ミュンヘン相手に喫した2-8の惨敗は、自身のサッカー人生の中でも拭うことのできない大きな恥だったことに違いない。その衝撃波が、バルセロナとの決別の決定的な原因と名分となったという見方もある。
メッシはバルセロナのユニホームのみを着続け、スペインリーグやチャンピオンズリーグなど合わせて34回も優勝トロフィーを掲げる金字塔を打ち立てた。彼自身にとって悔やまれるのは、母国アルゼンチンにワールドカップの優勝トロフィーをもたらせなかったことだろう。
それでも、相手DFを瞬く間に無力化させてゴールを生み出す彼を“歴代最高”と評価するサッカー界のレジェンドは多い。
突然告げられたクラブとの別れに対しても、バルセロナのサポーターや世界中のサッカーファンの間でメッシを非難する者は少ないはずだ。むしろ、美しくも幻想的なプレーでバルセロナのサッカーを芸術の境地に昇華させたトップスターの挫折に同情している。
バルセロナが“クラブ以上のクラブ”を標榜し、世界最高の名門クラブであることを誇りに思うならば、完全に心変わりしたメッシを快く送り出さなければならない。大スターと名門クラブの“美しい別れ”は本当に不可能なのだろうか。
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