予想していた通り、いや心配していた通りの結果だ。韓国女子バレーVリーグ女子の興国生命スパイダーズの強さが、リーグ全体の興味をそぐのではないかという声が聞こえている。
興国生命スパイダーズは8月31日、忠清北道・堤川(チェチョン)で行われている「2020堤川・MGセマウル金庫カップ・プロバレーボール大会」(カップ戦)のグループリーグ第2戦でIBK企業銀行アルトスと対戦し、セットスコア3-0(25-18、25-20、26-24)で勝利した。
第1戦では、昨シーズン1位のチームであった現代建設ヒルステートを相手に、やはりセットスコア3-0の完勝を収めていた。
女子バレー韓国代表の“エース”であるキム・ヨンギョン、韓国最高のレフトとされるイ・ジェヨン、さらに代表セッターのイ・ダヨン、外国人選手ルシア・フレスコまで揃い、圧倒的な戦力を見せつけた。
直接対戦した相手チームの監督や現場で試合を見守った監督らは、一様に「強すぎる」とため息をついた。まだVリーグの開幕まで1カ月以上残っているが、構図は大きく変わらない可能性が高い。同じ条件で、すべてのチームがカップ戦に出場しているし、万全とはいえないキム・ヨンギョンのコンディションが上がれば、さらに興国生命が強くなると予想できるからだ。
実際にキム・ヨンギョンの韓国リーグ復帰は、この上ない好材料だ。韓国のバレーボール選手のなかで、キム・ヨンギョンほどの知名度と人気を誇る選手はいない。その存在だけでもVリーグに活気をもたらすだけに、歓迎すべきことだろう。
問題は、彼女を擁する興国生命の独走がVリーグの優勝争いの興味を半減させる可能性があるということだ。
当然ながら、プロスポーツの核心は競争にある。勝っては負けてのし烈な勝負が続くほど、ファンの興味も集中する。Vリーグには興国生命スパイダーズ、あるいはキム・ヨンギョンだけでなく、他のチーム、他の選手を応援するファンも多い。彼らの立場では、勝負にならないゲームに興味を感じることができないのも当然だ。
すでに新シーズンのVリーグ最大の関心事は、2位がどのチームになるかという言葉が出ているほどだ。8月31日のカップ戦でIBK企業銀行アルトスが第3セットをデュースとしただけでも話題になったほど、興国生命は次元が違うチームとなっている。
誰が勝つかわからない不確実性こそ、プロスポーツの醍醐味だ。新シーズンはそんな興行要素がひとつ消えるかもしれない。
欧州サッカーでもドイツ・ブンデスリーガやイタリア・セリエAは、以前に比べて人気を享受できずにいる。バイエルン・ミュンヘンとユベントスの独走が原因のひとつに挙げられる。韓国バレーボール連盟が懸念している点も、そこにある。
実際にその懸念は、すでにカップ戦を通じて表面化している。とあるバレーボール界の関係者は、「蓋を開けてみると興国生命がさらに強かった。他のチームの立場では、やる気が出てこない可能性がある。リーグ全体の興味も半減してすまうかもしれない。他のチームがもっと頑張らなければならないが、限界があるため、心配される」と述べた。
他のチームも興国生命を倒せる戦力を備えればいいともいえるが、Vリーグは自由競争ができるシステムではない。依然としてサラリーキャップ(女子部は1チーム当たり23億ウォン=約2億3000万円が上限)という制度が導入されており、戦力の平均化を追求している。
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