8月29~30日、茨城県龍ヶ崎市にて「JR東日本カップ2020 第94回関東大学サッカーリーグ戦」第8節が行われた。
8月29日RKUフットボールフィールドA面にて、明治大学対慶応義塾大学の試合が行われた。明治大学にとっては、前節で国士舘大学に初黒星を喫し、東京都の天皇杯予選でも中央大学に敗れ、天皇杯出場が絶たれた後のゲームとなった。
試合は前半、0-0のまま折り返すこととなった。「しっかり守ってカウンターで良い形が作れたら」というゲームプランで試合に入った慶応義塾大学・淺海友峰監督は、前半について「セットプレーも含めて相手の圧力をリスペクトして、そのうえでどのようにカウンターに転じるか。前半は準備してきたことができた」と振り返った。
一方、前半無得点の明治大学・栗田大輔監督は、ハーフタイムに「見ていて面白くない。明治っぽくないね」と感想を述べ、さらに前半は「シンプルに人とボールが動いて、もっと一対一の部分は仕掛けたり、追い越したりのアクションが少なかった」と指摘し、選手を送り出した。
すると後半3分、試合が動いた。明治大学・住永翔の右コーナーキックを加藤蓮がヘディングで合わせると、ボールが右ポストに当たり、こぼれたボールを佐藤凌我が詰めて決めた。後半12分には左サイドの攻撃のこぼれ球を、住永翔がダイレクトで右足を振り抜きグラウンダーでゴールに突き刺した。
直後の15分にも、右サイドから須貝英大があげたボールをゴール前で佐藤凌我がコントロールしながら相手をかわして決め、19分には左サイドから持井響太が縦に送ったボールに、小柏剛が抜け出し、ゴール右隅に流し込み、4‐0で明治大学が勝利を収めた。試合後、淺海友峰監督は「後半の早い時間帯での失点がすべてだった」と述べた。
栗田大輔監督は「天皇杯を狙っていたのに負けてしまったので、このゲームが大事なゲームだった。前半は固かったが、後半は明治らしいサッカーができて良かった。前半と後半で一番違ったのは、ランニング、仕掛けること、積極的に前にモビリティーをかけていったところ。そこで相手が崩れていった」と試合を振り返った。
天皇杯出場を逃し、選手にどのような声をかけたかという質問に対しては、「声かけるどころか、相当いろいろとやった。練習もやったし、マインドの部分も。ありすぎて言えない」と答えた。さらに、Jリーグ内定選手が8人いるチームに対して「全部員に統一しているのは、明治でやることを全力で実直にやること。そこが評価されるから、次のステージに行ける。焦っても仕方がない。プロに決まった選手たちは、決まったことでもう一個先のことを自分でイメージし出す。そうなると、微妙にずれが生じてくる。各Jクラブの戦術が違うのに、それもやろうとすると、明治のサッカープラス色々なサッカーが入りこんでくる。もっと大学生として、明治としてやることをやりなさい」と相当喝を入れたという。その中で「(プロ内定は決まっていないが)住永は、ここ数試合、自分のマインドが変わった。チームの中心として良い活躍をしている」と評価した。
8月30日、RKUフットボールフィールドA面にて、流通経済大学対産業能率大学の試合が行われた。前半27分、佐々木旭の左サイドからのクロスを加藤千尋が頭で合わせて先制。34分には、加藤千尋が右サイドから上げたボールを佐藤響が右足で決めて、流通経済大学が2-0でリードし、前半を終えた。
産業能率大学・小湊隆延監督は流通経済大学との戦いを「(曺貴裁さんとは一緒に仕事をしていたので)ある程度やってくることは想定できていた。2点取られることも想定はしていた。そこからどれだけ自分たちの力を出し切れるかというところ」が勝負だったと述べ、ハーフタイムには「前半、戦えていない部分があったので、もう一回ちゃんとファイティングポーズをとろう。戦う気がないならタオル投げる。とにかくボールを奪うところの戦いになるから、切り替えのスピード、球際の強さ。そこで上回れたらチャンスが増えるはず」と選手に声をかけてピッチに送り出したという。
後半39分、産業能率大学の左サイドからのフリーキックのクリアボールが山崎広大の前に転がる。「思いっきり足を振れる。昨日の練習でもとにかくゴール前で足を振れと話をした」(小湊隆延監督)という言葉通り、右足を思いきり振り抜き1点を返す。直後の42分には、1トップの石津駿斗が相手ディフェンダーを体で弾き飛ばしてフリーになり、同点ゴールを決めた。小湊隆延監督も「体の強さが石津の良さ。あそこがこの一週間やってきたところ」とコメント。試合は2‐2の引き分けに終わったが、「他の選手もしっかり最後まで戦ってくれた。勝ち点3はとれなかったけど、十分評価できる勝ち点1だった」と評価した。
一方の流通経済大学・中野雄二監督は、「前半もあまり出来は良くなくて、たまたまゴールは入ったけど、納得できる展開でとれたとは思っていない。サッカーの原点・生命線である、球際であったり、運動量であったり、切り替えだったりが機能していない。やろうとしていることができないんだから、内容も良くなかったので、そういうときは勝たないほうがいい」と試合を振り返った。
第8節の試合結果は以下の通り。
【1部リーグ】
明治大学4-0慶應義塾大学
桐蔭横浜大学3-1専修大学
【2部リーグ】
流通経済大学2-2産業能率大学
東洋大学1-2日本体育大学
拓殖大学3-2立教大学
関東学院大学5-3神奈川大学
東京国際大学2-1青山学院大学
日本大学3-2明治学院大学
(文=玉 昌浩)
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