FCソウルとキ・ソンヨンには二度と埋まらない深い溝ができたようだったが、最終的に両者は手を握ることとなった。
FCソウルは7月19日、公式発表を通じて「キ・ソンヨンが入団契約条件に合意した」と明らかにした。キ・ソンヨンは7月20日のメディカルテストを経て契約手続きを終え、正式に入団する。
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去る2月のKリーグ復帰が不発となり、“古巣”FCソウルに苦言を呈していたキ・ソンヨンが一転してFCソウル入団を決めたのは、満足できない周辺状況の影響だった。去る2月に新しい挑戦のために選んだスペインリーグが、新型コロナの影響で中断した。デビュー戦は行ったが、足首の負傷で何も見せることができなかったキ・ソンヨンは、最終的に6月25日に帰国した。
次の選択肢を選ぶ状況だったが、新型コロナの余波で米メジャーリーグサッカー(MLS)をはじめ、他の海外リーグへの移籍は容易ではなかった。特にスペインで生活しながら家族と離れていたキ・ソンヨンにとって、韓国で家族と時間を過ごすことが重要だったため、古巣と手を握ることが最も現実的な方法だった。
さらに今年の初めと比較すると、キ・ソンヨンの価値に対する雰囲気が変わった。キ・ソンヨンは30代序盤の年齢であるため、まだ選手晩年と見るには早い。欧州で長期間プレーしたことで、Kリーグ最高レベルの年俸になってもおかしくないという評価だ。
FCソウルは過去の交渉で、キ・ソンヨンに7億ウォン(約7000万円)ほどの年俸を提示したと知られている。これでさえ価格を釣り上げた修正案だった。しかし最近の交渉では、チーム最高レベルである9億ウォン前後(推定値、約9000万円)という誠意を見せたとされる。
ほんの数カ月前までFCソウルとキ・ソンヨンの関係は、二度と元に戻らなそうな険悪なものだった。関係が疎遠になって平行線をたどったが、時間が過ぎながら少しずつ距離が縮まった。
キ・ソンヨンとFCソウルの問題は、今年1月に浮上した。昨年の冬、イングランド・プレミアリーグ(EPL)ニューカッスル・ユナイテッドとの契約を終えたキ・ソンヨンは、11年間の海外生活を整理し、韓国に戻ろうとする。数多くの経験を積んだキ・ソンヨンは、有望株時代を過ごしたKリーグに復帰し、自分の成長した姿を見せようとした。
しかしキ・ソンヨンの思いとは異なり、FCソウルは彼を評価しなかった。心に傷を負ったキ・ソンヨンは、全北現代を通してKリーグ復帰を目指したが、FCソウルとの違約金問題で最終的にあきらめ、スペインのマジョルカと短期契約を選択した。サッカーを通じて得た大きな栄光をファンに返したいという思いが無視された結果だ。
キ・ソンヨンは去る2月、スペインへと出国する前の発言で、FCソウルの問題点を指摘した。彼は「FCソウルが僕を望まなかった」とし、「(このような状況なのであれば)ヨーロッパでプレーする選手たちがKリーグに行こうとするのか疑問だ」と批判した。
自分を無視した古巣に苦言を呈したキ・ソンヨンだが、新型コロナの影響で6月30日にマジョルカとの契約満了直前に早期帰国した。帰国ニュースが報じられただけで、キ・ソンヨンのFCソウル復帰説が再び話題となった。
2月にキ・ソンヨンを追い払う形となっていたFCソウルはこの間、ファンから叱責を受けてきた。さらに今季の成績不振をはじめ、“ラブドール事件”に至るまで、FCソウルには批判の声が続いた。
FCソウルはファンの怒りを冷ますために、“キ・ソンヨン獲得”のカードを取り出した。キ・ソンヨンに対するファンのニーズを痛感したため、これまでの過ちを補おうと努力した。
FCソウルはカン・ミョンウォン団長が直接交渉を担当するなど、キ・ソンヨンの気持ちを変えるために万全の準備を傾けた。カン団長はキ・ソンヨン側に、クラブが提示できる最高年俸を提示した。5カ月前に大きな失望感を表わしたキ・ソンヨンは、最終的にFCソウルと手を握った。
FCソウルの内部では、キ・ソンヨン獲得で明るい雰囲気が生じているとされる。FCソウル事情に詳しい関係者は、「困難な課題を解決した雰囲気」と内部状況を耳打ちした。キ・ソンヨンとFCソウルの深い溝は、お互いの利害関係によって埋まった。
あとは期待通り、FCソウルとキ・ソンヨンが“ウィンウィンの結果”を生み出すことができるか、見守りたい。
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