チェルシーがマンチェスター・シティを2-1で下した6月25日午後22時ごろ(現地時間)のことだった。
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リバプールが残り数試合を残し、2019-2020シーズンのプレミアリーグ優勝が確定した瞬間、想像を絶する風景が広がったのだ。
リバプールの旗をはためかせクラクションを鳴らした車が、1989-1990シーズン以来30年以来の頂点であり、1992-1993シーズンのプレミアリーグ発足以降初となる優勝を真っ先に祝った。
続いて、大勢のリバプール市民が一様に本拠地アンフィールドや市内の随所に集まった。本紙『スポーツソウル』の通信員がアンフィールドに到着したのは真夜中だったが、スタジアム周辺はもう統制不可能な状態となっていた。
遅い時間にもかかわらず、リバプールのユニホームを着た子どもが親と手を握っていた。年配の老夫婦の姿も少なくなかった。チケット売り場周辺では紅炎が噴き出され、リバプールの応援歌が鳴り響いた。
すでにイギリスメディアを通じて知られているように、現場は修羅場と化した。一瞬にして酒瓶やごみが散らかされ、辺りは狂乱のパーティ会場に変身した。新型コロナウイルス感染症を意識してマスクを着用する人もほとんどいなかった。
結局、『メトロ』紙などの大衆紙は翌日、リバプールのランドマークでありユネスコ世界文化遺産に指定されているロイヤル・リバー・ビルディングの火災はじめ、数千人の人波が殺到して発生した大小の事故に、集中的に焦点を当てた。
何より、社会的な距離を置くことが切実に求められている“ウィズコロナ”時代に合わない優勝セレモニーには、批判が伴わざるを得なかった。
しかし、すでに伝えられているのと違い警察は強制解散を図ったわけではない。マージ―サイド州の警察はアンフィールドに通じるすべての道路を遮断し、車両の出入りを阻止したものの、市民の足まで統制することは無かった。
より正確に表現すれば、“防がなかった”の方が正しいかもしれない。あまりにも多くの人でと車両が入り乱れることで予期せぬ大事故が発生しかねないだけに、ドライバーを安全案地域へと案内する程度のレベルにとどまっていた。
リバプールで過ごした3年の歳月を振り返ると、ここにおける“サッカー”とは警察をはじめとする全地域住民の「すべて」だ。待ちに待ったプレミアリーグ優勝の瞬間だけは、皆が「KOP(リバプールサポーターの愛称)」に生まれ変わっていた。
お祭りムードとなった現場からは殺伐とした雰囲気が感じられたが、ある意味、今この雰囲気が“本当のリバプール人”が創り出す風景だと考えた。
新型コロナの影響で移動が自由でないため、ここに集った人の大半はリバプール現地住民だ。つまり、ほとんどが幼いころ、若いころからリバプールの優勝に渇望していた人たちで、“プレミアリーグ優勝への恨み”やこれまで凝縮されてきた感情が一気に湧き出たのだ。
その点では、昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ優勝パレード時と比較できる。当時は海外からの観光客が大勢集まっていたが、むしろ雰囲気は落ち着いていた。しかし、今回のプレミアリーグ優勝には現地住民だけが集っていた。
もちろん、狂的なセレモニーが残したさまざまな汚点は指摘しなければならない。だが、リバプールの優勝決定後、これまで新型コロナの事態で疲弊し、沈んでいた地域住民たちは活力を取り戻したかのように見えた。
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