韓国プロ野球で試合が一時中断する事態が起きた。
SKワイバーンズのヨム・ギョンヨプ監督が、極度のストレスによってダッグアウトで気絶してしまったのだ。
6月25日にSK幸福ドリーム球場で行われたSKワイバーンズ対斗山ベアーズのダブルヘッダー第1戦の試合途中、ヨム監督は突然倒れた。
2回表の攻守交替の状況でいきなりSK側のダッグアウトがざわめきだし、斗山のキム・テヒョン監督も慌ててSK側に駆け付けた。すぐに救急車が球場内に入り、ヨム監督は病院へと緊急搬送された。
担架で運ばれる途中のヨム監督は、目を閉じた状態で手と体が震えていた。
不幸中の幸いか、ヨム監督は移送途中に意識を少し取り戻し、病院で精密検査を受けた。
試合は救急車の出入りによって中断されていたが、その後しばらくして再開された。だが、球場の雰囲気はどこか暗いままだった。
中断以前まで、両チームのダッグアウトからは仲間を応援する声が飛び交っていたが、ヨム監督が倒れてからは応援の声も弱まった。
この試合は両チーム合わせて20得点という激しい乱打戦が繰り広げられたが、お互いのダッグアウトは静寂が続いていた。
ヨム監督は最近、チーム状況の悪化を受けて激しいストレスに苛まれてきた。
昨年、惜しくもレギュラーシーズン優勝を逃したSKだが、今季はここまでいばらの道を歩んでいる。先月には20年ぶりに10連敗を記録し、今月も試合前まで7連敗を喫して10球団中9位に沈んでいる。
ヨム監督は徹底的に分析を行い、計算してチームを運用するスタイルだ。徹夜してでも当日の試合を見返し、次の試合に向けて何度もシミュレーションをする。
だが、ここ最近はヨム監督の計算通りに野球が上手く行かず、極度のストレスを受けてきた。最近では「野球が難しい」といった言葉を繰り返すなど、もどかしい心情も吐露していた。
加えて、天災地変に近い負傷離脱の連続がヨム監督を揺るがした。
まず、シーズン序盤に捕手イ・ジェウォンが離脱すると、巨砲としての輝きを取り戻したハン・ドンミンも戦列を離れた。さらには、昨年の3割打者コ・ジョンウクも負傷者リスト行きとなった。その影響で、SKは10連敗のドロ沼にハマってしまったのだ。
その後はトレードで捕手イ・フンリョンを獲得し、イ・ジェウォンやコ・ジョンウクも復帰を果たしたものの、盛り返しのきっかけを探せずにいた。
最近では投手陣の編成にも苦しんだ。抑え投手のハ・ジェフンが不調によって離脱すると、先発のキム・テフンもブルペンに戻っていた。
当時、「キム・テフンは自分の得意とするブルペンに行くことに決めた。先発の空いた1枠は若い選手たちが争わなければならないようだ」とヨム監督は背景を説明した。しかし、その顔つきは暗かった。
実際の試合も序盤から緊迫していた。1回表に3点を先制されたSKは、同回裏にすぐさま同点に追いついた。同点になった瞬間はヨム監督も拍手で選手を励ましていた。
しかし、2回表に再び3失点してスコアが3-6となってしまう。その直後、ヨム監督が倒れてしまった。
緊急検査の結果、ヨム監督はストレスや不十分な食事、睡眠不足による心身衰弱と診断された。そして、追加検査の必要性も提起され、病院に入院することになった。
ヨム監督復帰までは、パク・ギョンワン・アシスタントコーチがチームを率いる予定だ。
プロ野球は韓国最大のプロスポーツとして定着した。
人気が高まっていく反面、監督たちが受けるストレスも強くなっていった。保障された任期をまっとうできず更迭される事例も増え、成績に対するプレッシャーも増した。
試合結果によるファンの度を越えた非難がリアルタイムでオンラインを通じて露出され、監督の人知れぬ悩みも増加した。
ヨム監督のように眠れない夜を過ごす指導者も少なくない。今からでも、ストレスの危険にさらされている監督の健康問題を振り返ることは必要だ。
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