「ただの“客寄せパンダ”ではない」元阪神オ・スンファンの復帰がチームに何をもたらしたのか

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「選手生活の最後はサムスンで過ごします」

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2013年12月、オ・スンファンは慣れ親しんだサムスン・ライオンズを離れ、日本プロ野球(NPB)の阪神タイガースに入団した。

当時、サムスンはオ・スンファンがフリーエージェント(FA)でなかったにもかかわらず、全面的な支援で海外進出を手助けした。

オ・スンファンも、“現役最後の火花はサムスンで燃やす”と約束し、海を渡っていった。

“客寄せパンダ”ではないオ・スンファンの復帰

それから7年が経ち、オ・スンファンは約束を守った。NPBやメジャーリーグの舞台で“韓国産直球”をいかんなく発揮してきた男が、約束通り“獅子軍団”の一員として戻ってきた。

オ・スンファン

彼は、ただ引退前に韓国の野球ファンに少しの間だけ姿を見せるための“ファンサービス”で復帰したわけではない。本人も「まだ投げる力が残っているときにサムスンに帰りたい」と常々話していた。

サムスン王朝時代、重みのある“石直球”でクローザーの役割を果たしてきたように、復帰してもただの“客寄せパンダ”ではなく、崩壊した王朝の再建のために一助するという意志も見せている。

サムスンの選手や関係者は「オ・スンファンの身体は今見ても感嘆する。どれだけ自己管理を徹底していたのか、身体だけ見てもわかる」と話す。40代が目前に迫りながらも“年齢は数字に過ぎない”という言葉を自ら実践しているのがオ・スンファンだ。

オ・スンファン海外進出以前のサムスンと現在のサムスンは状況がまったく異なる。

王朝時代のサムスンは何も恐れることのない強豪チームだったが、ここ数年のサムスンは下位圏に低迷するほど戦力が弱体化した。

「選手たちも不足していることをわかっている。だから、毎日一生懸命準備する。私が率先して手本を見せれば、チームにいいエネルギーと機運が生まれて戦力も向上するだろう」とオ・スンファンは明かす。

海外で活躍した経験が後輩の成長の糧に

後輩からすれば、日米韓で活躍した大先輩に近づくことは簡単ではないだろう。そのため、オ・スンファンは自ら後輩との距離を縮めようと努力している。「キャンプのときから後輩たちと親しくなろうと努めてきた。今は気兼ねなく過ごしている」と説明した。

温厚さが表れたかつての“石仏”の効果はただちに現れた。今度は後輩たちからオ・スンファンに近づいているという。特に投手陣は、海外の舞台を経験したオ・スンファンの秘訣を学ぶべく、時間があるたびに球種を聞いている。

試合前にはグラウンド上で「オ・スンファン・クリニック」が開かれる風景もよくみられている。

チームメイトとハイタッチを交わすオ・スンファン(21番)

まるで“友達のような先輩”に生まれ変わったオ・スンファンだが、“石直球”のようなストレートな話し方は変わっていない。あまりに優しすぎる後輩たちに対し「むしろ心配だ」と憂慮している。

「マウンド上では優しさはいらない。ブルペンでも後輩投手にそんな話をよくしている」とオ・スンファンは話した。短いイニングで失点を最小限に抑えなければならない後続の投手には、いかなる状況にも揺るがない“強心臓”が必要だ。

説得力のあるオ・スンファンの言葉に、強力な球威を武器に相手打者を抑え恐怖心を呼び起こさせた彼の気質がよく表れている。

柔らかさの中にも重みがあるオ・スンファンのリーダーシップは、サムスンの投手陣をさらに堅固にする役割を果たしている。

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