ファン・インボム(22)は欲張りな選手だ。
彼は意思を確実に伝える。ジャカルタ・アジア大会当時、練習の前後に主将を務めたソン・フンミンが選手たちに発言権を与えると、ほぼ唯一手を挙げて自分の考えを伝えていた。
それだけ考えがはっきりしている。自分の目標が何なのか、達成するにはどうすればいいのかも正確にわかっている。それだけ誠実でもある。
所属する韓国Kリーグの大田(テジョン)シチズンでは、自主トレを最も多くする選手といわれている。欲と誠実さを併せ持つと、どんな効果が生まれるのか。
大田シチズンのクラブハウスでファン・インボムとインタビューを行い、彼が描く未来に耳を傾けてみた。
ファン・インボムにとって、2018年は幸運な年だった。アジア大会の金メダル獲得によって早期に兵役義務を免除され、Aマッチデビューも果たしてゴールも決めた。
同時に、4人の監督の指導を受けた。警察庁チームである牙山(アサン)ムグンファのパク・ドンヒョク監督とU-23代表のキム・ハクボム監督、大田シチズンのコ・ジョンス監督、そしてA代表のパウロ・ベント監督である。これは珍しい経験だ。
ファン・インボムは言う。
「サッカー人生のなかでもとても貴重な経験になると思う。あのチームこのチームと行き来して4人の監督の指導を受けて、それぞれから学ぶことが多かった。成長に大きく役立つ。
どの監督にも好かれる選手になりたい。本当に良い選手とは、指導者の意思を把握してプレーする選手だろう。最近は、コ・ジョンス監督とフリーキックの練習をしている。僕の弱点を直す良い機会だ。多くの監督と会うと、こんな経験もできる」
A代表では、尊敬するキ・ソンヨンともプレーした。10月のパナマ戦では一緒にスタメン出場し、呼吸を合わせた。
「部屋も一緒でとてもうれしかった。レベルが違う。試合中なのに、キ・ソンヨン先輩のパスを見ながら感動していた。心の中で、“なんだこれは”と思った。思いもよらないタイミング、速度、ルートでパスがつながるんだ」
それはファン・インボムのモチベーションになる。
「キ・ソンヨン先輩を見ながら、サッカーがもっと上手になりたいと切実に思った。一緒に代表のユニホームを着ているからといって、みんな同じではない。僕もキ・ソンヨン先輩のような選手になりたい」
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一方、ファン・インボムにとってキ・ソンヨンは“気の毒な”選手でもある。