ムン・ウラムの父親は「授賞式の日だとは知らなかった」と釈明したが、信頼性は落ちる。本当にムン・ウラムの無念を晴らしたかったのであれば、ブローカーの検証されていない言葉を鵜呑みにして実名まで公開する必要はなかった。自ら無念を訴えながら、新たな“無念の被害者”を量産することになるからだ。実名公開したイ・テヤンとムン・ウラムに対して、世論の冷たい視線が集中する理由だ。
もちろんイ・テヤンが韓国プロ野球界の“暗部”を浮き彫りにするために、勇気ある発言をした可能性もある。イ・テヤンには失うものがない。八百長が事実と明らかになり、韓国プロ野球に復帰する可能性はすでに絶たれている。
(関連記事:野球韓国代表のソン・ドンヨル監督辞任…誰が韓国球界の「国宝」を追いやったのか)
それだけに、彼の発言にはよどみがなかった。イ・テヤンは、「罪人である私が前に出ることは良くないかもしれないが、私は真実をすべて知っている」と述べた。批判的な世論に包まれることを受け入れながら、暴露合戦の口火を切ったのだ。イ・テヤンとムン・ウラムがゴールデングローブ賞授賞式に狙いを定めていた場合、記者会見をサポートした“見えざる手”があったという仮説も成り立つ。
波紋は社会全域に広がる兆しを見せており、検察の捜査につながる可能性もある。そのためKBOと各球団も、選手自らの釈明だけで「事実無根」を宣言するのではなく、一点の疑惑も残さないように徹底的に事実関係を究明する必要がある。
もしこの日の記者会見に、韓国プロ野球の根幹を揺るがして利益を享受しようとする不純な意図が隠れていた場合は、それについても明らかにしなければならない。
苦い後味だけを残した“疑惑だらけ”の記者会見だった。