昨年、韓国Kリーグ最高の選手としてMVPに輝いたキム・ボギョンが、ベンチに回った。全北現代の“ジレンマ”だ。
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全北現代のジョゼ・モライス監督は、5月24日に行われた大邱FCとの第3節でキム・ボギョンを先発メンバーから外した。試合は全北現代が2-0で勝利した。
全北現代は、去る2~3月に開かれたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のグループリーグ2試合とKリーグ第1~2節で、2列目にキム・ボギョン-邦本宜裕-イ・スンギを起用した。技術に優れた攻撃型MFを3人配置し、積極的で創造的に相手を攻略するという構想だった。
問題は、モライス監督のこの作戦が正しく機能していなかったという点だ。ACLはもちろん、Kリーグでも全北現代は対戦相手を圧倒できなかった。
Kリーグ第1節の水原三星戦はセットピースからの1得点(1-0勝)が精一杯で、今季からKリーグ1に昇格した釜山アイパークとの第2節でも何度かの危機があり、なんとか1ゴール差で勝利(2-1勝)した。全体的に2列目の相乗効果が目立たない内容だった。
そのためモライス監督は大邱FC戦の先発からキム・ボギョンを外し、邦本宜裕にボールを集める戦術に変更した。邦本宜裕は2列目だけでなく、3列目まで下がって攻撃を導く役割を担った。
記録分析メーカー「bepro11」の資料によると、邦本宜裕は大邱FC戦で計77回のパスを試みた。水原三星戦(40回)、釜山アイパーク戦(33回)の2試合を合計した数字よりも多いことになる。成功回数も64回で、前出2試合の計57回を上回った。
皮肉なことに邦本宜裕の影響力が高まると、全北現代は以前よりもコンパクトで迅速な攻撃を見せた。
モライス監督は「キム・ボギョンは他の試合でも戦略に合わせて先発、または途中出場となる」と話し、今後もキム・ボギョンを無条件で先発メンバーにするわけではないことを明らかにした。
だからといって全北現代が今後もキム・ボギョンを排除したまま、邦本宜裕だけをチームのエンジンとして活用することはできない。
昨年KリーグMVPのキム・ボギョンを交代要員としてベンチに置き続けるのは、あまりに無駄遣いだ。さらに相手チームが邦本宜裕を徹底マークする戦略で来た場合、他の作戦を探す必要もある。
結局のところ、キム・ボギョンと邦本宜裕の共存方法を探し出すことが最上のシナリオだ。
過去に全北現代は、キム・ボギョンとイ・ジェソンのコンビを前面に出して、アジアを制覇した。現在も2人の左利きテクニシャンの相乗効果を期待している。
開幕から負けなしの3連勝ではあるが、先発で出場しているイ・スンギの存在感もぼやけていることも見逃せない。
イ・スンギは3試合を終えて、まだ攻撃ポイント(ゴール+アシスト)を記録していない。大邱FC戦では、シュートもなかった。邦本宜裕、キム・ボギョンと出場するメリットを享受できていない状況だ。
いずれにしてもリーグ最高レベルの2人のMFが躍動していないのは、選手個人の能力不足ではなく、システムに問題があると見なければならない。シーズン序盤には試行錯誤がつきものだが、モライス監督が必ず解決しなければならない課題だ。
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