ニューフェイスがチームを3連勝に導いた。主人公はブラジル人FWのムリロ・エンリケ(25・全北現代モータース)だ。
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5月24日に全州ワールドカップ競技場で行われたKリーグ1(1部)第3節、全北現代は大邱FC相手に2-0で勝利を収めた。ムリロとチョ・ギュソン(22)が得点を決め、相手の反撃を無失点で抑えこんだ。
開幕3連勝を果たした全北現代は、1部で唯一の全勝チームとなった。4連覇を狙う今シーズンはここまで順調に優勝レースのトップを走っている。
全北現代はこの日、前半だけで7本のシュートを放ち、支配率でも70%と相手を圧倒していた。しかし、DFラインを大きく下げた大邱FCの守備に阻まれ、得点を生み出せずにいた。
ワントップのチョ・ギュソンはこまめに動き回り、2列目では邦本宣裕(22)、イ・スンギ(31)、ハン・ギョウォン(29)らが積極的なポジションチェンジでDFラインを揺さぶったものの、ゴールには至らず。シュートはことごとく相手GKに止められ、前半35分のチョ・ギュソンの決定的なヘディングもファインセーブに阻まれた。
全北現代がもどかしさを感じていた試合展開も、後半開始と同時に一人の選手のプレーによって解消された。
前半から活発に動き回っていたムリロは、後半2分にペナルティエリア手前でボールを持つと、爆発的なスピードで相手DFを突破。GKとの1対1でも落ち着きを見せ、グラウンダー性のシュートをゴールネットに流し込んでみせた。堅固な大邱の守備が、一人の個人技によって一瞬にして崩れた瞬間だった。
今シーズンから全北現代でプレーするムリロだが、加入直後は疑問符が付けられていた。
全北現代でエースナンバーの背番号10番を与えられたムリロは、加入以前までブラジルリーグ各クラブをレンタルで転々としており、あまり華やかな選手キャリアではなかった。そのこともあり、全北現代にとって必ずしも必要な選手ではないと評価されていた。
また、サイドを主戦場とするムリロは典型的なウィンガーではなく、内側にドリブルで切れ込むプレーを好む。しかし、全北現代は冬の移籍市場で昨シーズンの1部MVPキム・ボギョン(30)やテクニシャンの邦本を獲得しており、さらには元々イ・スンギもいたため、攻撃的MFの飽和を指摘されていた。
それでも、ムリロはKリーグデビュー3試合目で初ゴールを挙げ、全北現代の3連勝をけん引してみせた。
まだ評価を下すには時期尚早ではあるが、ひとまず疑問符を解くきっかけになったとみられているようだ。
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