FCソウルが起こした事件が、他クラブの努力を壊してはならない。
無観客試合の寂しさを紛らわすため、FCソウルが観客席に“ラブドール”を設置した事件は韓国Kリーグの歴史に残る汚点として記録されるだろう。
【注目】“八百長と同額”FCソウルに過去最高の制裁金が科されたワケ
韓国プロサッカー連盟が史上最高額の制裁金1億ウォン(日本円=約1000万円)を科したのも、それだけ事案が重大だからだ。
国内外で恥をかかせ、Kリーグ全体のイメージが傷つけられたことは否めない。
Kリーグを構成するメンバーたちは、今回の事件によって他のクラブの汗と努力が水泡に帰すことを憂慮している。
他のクラブも、無観客試合に際してあらゆるアイデアをひねり出した。
大邱FCは1万個の水色の旗を設置してホームゲームの雰囲気を演出し、浦項スティーラースをはじめ多くのチームは適切な効果音で試合の集中力を押し上げ、好評を得た。
全北現代モータースや大田ハナシチズンなどは、ファンからメッセージを観客席に掲示し、選手にエネルギーを与えた。
さらに、安山グリナースは安山市内の子どもたちが描いた自画像で観客席を埋め尽くし、高く評価された。
その他にも、済州ユナイテッドFCはファンが直接録音した歓声で応援合戦も繰り広げる予定だ。
こうした才気あふれる努力が“ラブドール”事件によって埋もれるのはとてももったいない。Kリーグが世界的な関心を受けている時期だけになおさらだ。
もう一つ残念な点は、この2年間かけてKリーグが地道に攻略してきた重要な地点が崩れかねないという点だ。
Kリーグは近年、女性ファンや子どもファンの獲得にまい進している。
子どもファンの存在はとても大切だ。子どもがファンになれば、自然と親も同行するシステムが構築されるからだ。
さらには2018年ジャカルタ・アジア大会効果で、女性ファンがKリーグに一挙になだれ込んだ。
このように興行にも火をつけた好材料が、今回の事件によって歯止めがかかるのではないかと心配されている。
女性ファン層による購買力は強く、直接的な興行はもちろん商業的な面でも大きな役割を果たしている。そのため、韓国プロサッカー連盟や各クラブは柔軟にマーケティング活動を繰り広げてきた。
だが、今回の“ラブドール”は、特に女性や子ども、あるいは親に強烈な拒否感を与える。そういったアダルトグッズが堂々と設置されているスタジアムに、女性や親は行きたいと思わないだろう。
とあるクラブ関係者は「今後、FCソウルが女性や子どもに“スタジアムに来てほしい”と言える面目はあるだろうか」とため息をついた。
ただ、議論を呼んだチームはFCソウルだけであり、他のクラブは全く関連が無いという点を想起しなければならない。
FCソウルは責任を痛感し、反省して再発防止を約束した。他のクラブはこれまで通り興行努力を続ける見通しだ。
地方の企業クラブ関係者は「他のクラブも、今回の事件を通じて警戒心を持つようになったはずだ。これから観客を受け入れることになるだろうが、今まで以上に努力して集客できるようにしなければならない。核心の顧客である子どもや女性ファンの攻略は続くだろう」と述べた。
FCソウルは自らの失態でイメージを大きく落としてしまった。他クラブも同じわだちを踏まないよう、より一層注意してアイデアを生み出す必要がある。
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