「プロサッカーなど主要スポーツクラブを見ると、選手支援チームや強化部署のように、今すぐ競技力や試合結果に影響を与えそうな部署には専門家を採用すべきだと声を出すが、意外にも最近の広報やマーケティング部署は担当者を循環させているだけのようだ」
そして、「マーケティングは(クラブ運営の中で)ややサブ的位置づけという認識が強い。そのためマーケティング専門人材がクラブを離れてしまったり、自分の意志通りに展開できなかったりする状況が多い」と指摘した。
甚だしくは一部のクラブは、広報やマーケティング責任者をその業務に専従させるのではなく、選手運営など他部署の業務と兼任させている。そのため主要事案に対するディテールをしっかり検証もできない。
興行と収益を目的とするマーケティングは、どの産業でも目に見えない部分に対しても徹底した研究と計算が伴わなければならない。
スポーツマーケティング関係者は「大多数のクラブが専門人材を置かず、多くの成果を要求する。そのため働く人たちは目に見えるものから手を出すしかないのではないか。今回のラブドール事件もそうした構造的問題とも無関係ではない」と述べた。
事件直後、「試合中に主要状況を把握できなかったというニュアンスの釈明は、マーケティング業務をする者が言ってはいけないことだ」と付け加えた。
ブランドマーケティング専門家は、オープニングマインド失踪について言及する。
「例えばデパートなど流通業界では、開店時間が10時なら最低1時間前からすべての準備を終えて客を迎える。だが、プロスポーツは観衆が会場に入ってきても、何かを補修したり、慌ただしい。マーケティング概念でオープニングマインドと解釈することができるが、こうした部分が欠如すればラブドール事件のように取り返しのつかない状況に追い込まれる」
そう指摘したあとで、ブランドマーケティング専門家は言った。
「残念なことは、今回のことで各クラブのスポーツマーケティングが硬直するのではないかと懸念されることだ。スポーツをテーマにしたマーケティングは、挑戦的かつ多様でなければならない。クラブの上層部からの全幅的な関心と支援があれば、Kリーグの立場から今回の事態は災い転じて福となすはずだ」