「試合前の防疫に力を入れているが、現場でフィルターの無いマスクを着けているのを見ると心配になる」
【注目】観客席に“ラブドール”設置のクラブが過去最高の制裁金…懲戒が厳しい理由とは?
コロナ禍に開幕した韓国Kリーグは、各クラブの徹底した感染予防対策によってここまで第2節を消化している。
ただ、防疫対策の中で未だ議論を呼んでいるのが“選手の会場入りの際のマスク着用義務”と関連した事項だ。
韓国プロサッカー連盟は、リーグ開幕前に各クラブに配布した新型コロナ対応マニュアルの「試合進行ガイドライン」で選手の行動指針を示しており、選手及びコーチ陣、スタッフのスタジアム内マスク着用を必須としている。
選手の場合、ウォーミングアップ及び試合出場時はマスクを着用しなくても良いとされている。ただしベンチでは着用が必須だ。
こうした指針があるにもかかわらず、「一部のチームがベンチでのマスク着用ルールを守らっていない」という指摘が相次いでいる。
また、最近では各クラブが自主製作した“ファッションマスク”についても疑問符が挙がっている。多くのクラブが、ロゴやアイデンティティを表現するデザインをマスクに施し、それを現場で使用しているのだ。
問題とされているのは防疫に関する実効性だ。
一部のクラブはフィルターを付けられるタイプのマスクを製作しているが、たいていがフィルター機能のない“ファッションマスク”となっている。
とあるAクラブの関係者は「他のチームがマスクを製作しているのを見て、我々も作ってみようという話が出たこともあった。だが、フィルター機能のある保健用マスクの生産は政府によって統制されている状況だ。クラブ内で保健用のマスクを大量に自主製作することは不可能だ」と話す。
そして、「最近の梨泰院の騒動でまた厳重な時期に突入している。ファッションマスクを平気で着用することも再考すべき問題だと思う」と、社会状況を考慮していることも明かした。
自主製作したマスクを活用しているBクラブ関係者は、ファッションマスク使用に対する憂慮を認めながらも、現実的な困難について言及している。
「Kリーグは“マスク必須着用者”の範囲が広く、そもそもトレーニングや試合を行き来しながら大量の保健用マスクを手に入れること自体が難しい。連盟のマニュアルにも、マスクの基準は提示されていない」
「ベンチの選手も相当苦しんでいる。最近は初夏のような天気だ。(試合中に)ウォーミングアップをして息を整えたのに、ベンチに座ったときに政府が勧めるKF94など保健用マスクの着用を求められたら、もう息が詰まるしかない」
ベンチに広がるマスク風景と関連したさまざまな雑音が出ている中、はじめから現実に合わせて指針を見直すべきという見解も出ている。
Cクラブ関係者は「ただ見せかけのマスクを着用せず、現場の実情に合った指針が出てほしい。例えば、試合中にたくさん会話を交わす監督やコーチ陣だけに着用を求める方式などだ」と考えを示す。
実際、韓国プロ野球はKリーグと異なる対策が取られている。
サッカーのベンチように、野球ではダッグアウトに多くの人員が集まっているが、マスクを着用しているのは監督とコーチだけだ。選手たちは試合中、最大限会話を自制している。
そのほか、現場でマスク着用が義務付けられたのは、選手に複数回コミュニケーションを行う一塁、三塁コーチなどの審判や、狭いスペースに配置される記録員などだ。
もちろん、各球団のトレーナーやマネージャー、通訳やフロントだけでなく、ボールボーイやバットボーイ(バットガール)といったすべての試合関係者は、マスクと衛生手袋の着用が必須とされている。
感染拡大のリスクが伴っているだけに徹底した防疫は必要だが、Kリーグを主管する韓国プロサッカー連盟は選手など現場関係者の意見を聞き入れ、柔軟に対応をすることが求められるだろう。
前へ
次へ