南北首脳が合意、トランプも歓迎…“ソウル-平壌オリンピック”に現実性はあるか

2018年09月20日 スポーツ一般
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IOCは最近、費用の問題でオリンピックを誘致しようとする都市が大きく減少していることに頭を抱えている。昨年の総会では、2024年大会をパリで、2028年大会をロサンゼルスで行うことを決定。2大会開催地を一度決定したのは異例的で、それだけの誘致に苦労しているという証拠だろう。ソウル-平壌が共同誘致に出れば、開催地問題を解決することはもちろん、オリンピックを通じた平和の実現というIOCの精神も具現することができる。

また、2つの都市共同開催というオリンピック史の新たな1ページを刻むという側面においても意義深い。バッハ会長もそういった理由で、ソウル-平壌五輪開催に深い関心を示したという。

国連の対北朝鮮制裁を避けられる南北協力事業という側面でも、オリンピックは最適だ。施設面でも大きな問題がない。ソウルには1988年夏季オリンピックを開催したときの競技場が今もよく活用されている。平壌にも5月1日競技場や金日成競技場などがあり、少数の体育館を新しく建てて既存施設を補修する線で共同開催が可能である。 
(写真提供=平壌写真共同取材団)平壌の5月1日競技場は最大15万人を収容可能。ソウル-平壌オリンピックが確定すれば、開会式や閉会式の会場として最適だ
オリンピックの開催都市は、開催7年前のIOC総会で100人余りのIOC委員の投票を通じて決定される。その前例に従えば、2032年の大会開催地は2025年に決定する。スポーツ界関係者らによると、「オリンピック招致委員会はたいてい総会2年前から構成されているが、ソウル-平壌大会の場合、共同開催という点、南と北の特殊性などを考慮して、さらに1~2年前に発足されることもあり得る」という。

東京五輪直後から誘致が本格化か

平昌冬季オリンピック招致委員会は2011年8月、シンガポールIOC総会2年前の2009年8月に発足された。ただIOCは、開催地の早期確保のために2032年のオリンピック開催地選定総会を繰り上げることができる。結論的に、単一チームが出場する2020年の東京五輪直後から2032年大会誘致の動きが活発に展開するものとみられる。

もちろん現在も2032年のオリンピック開催を希望する都市はいくつもあり、IOC委員の投票による予備選挙は準備しなければならない。アジアではインドのニューデリー、インドネシアのジャカルタなどが誘致を打診している。オーストラリアのブリスベン、ドイツのデュッセルドルフ-ケルン(共同開催)も取り上げられている。それでもひとまず、今回の南北首脳の誘致宣言で、ソウル-平壌が機先を制したかたちだ。

一方、首脳会談を前に取り上げられた南・北・日・中ワールドカップ(2030年あるいは2034年)は、日本や中国と合意しなければならないなど、オリンピック以上に推進過程が複雑で、今回の平壌共同宣言からは外れた。

韓国サッカーの英雄・車範根(チャ・ボムグン)監督が文大統領とともに訪朝したため、ワールドカップ誘致に関しても取り上げたと見られるが、なんら発表はなかった。中国が単独開催を強く願っている状況で、南北がワールドカップよりオリンピックを選択したと見なければならない。

(構成=呉 承鎬)
 

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