日本やアメリカに先駆けて、韓国女子ツアーが5月14日から再開された。開幕を知らせるのは、今季初のメジャー大会「KLPGAチャンピオンシップ」だ。
出場選手は計150人に上る。女子ゴルフ世界ランキング3位のパク・ソンヒョンをはじめ、同6位のキム・セヨン、10位のイ・ジョンウン6、韓国女子ツアーの“怪物”チェ・ヘジン、日本で活躍するイ・ボミやアン・ソンジュらスター選手がこぞって出場した。
大会2日目を終えて首位はホ・ダビンとキム・ジャヨン2となっており、“次世代セクシークイーン”と呼ばれ、日本でも人気の高いユ・ヒョンジュも8位タイと健闘している。
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KLPGAチャンピオンシップはアメリカやカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど全世界に生中継され、日本では『スカイAゴルフLIVE』で観戦することができる。
5月14~17日に行われるKLPGAチャンピオンシップの賞金総額は、30億ウォン(約3億円)。これは破格の金額だ。
韓国女子ツアーの他の大会と比べると、その差がわかる。
2020年シーズンはコロナの影響で中止などがなければ、全31大会、賞金総額269億ウォン(約26億9000万円)だった。1大会当たりの賞金総額は、平均8億7000万ウォンだ。しかし今回のKLPGAチャンピオンシップは賞金総額30億ウォン。平均の3倍以上となる。
同大会は42年の伝統を誇るが、今回の賞金総額は過去最大規模となった。なぜだろうか。
そもそも今季のKLPGAチャンピオンシップは4月30日~5月3日に行われる予定だった。しかし新型コロナの影響でメインスポンサーだったクリス・F&Cが下り、4月3日には大会中止も発表された。
それでも韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)は、KLPGA主催で大会を開く意思を示した。最も大きな理由は、今季ツアーが行われないことで生活に苦しんでいた選手やキャディたちへの思いだった。
ましてKLPGAは近年、その収益を伸ばして潤沢な資金もある。『2018 韓国ゴルフ産業白書』によれば、KLPGAの年間収入は大会のタイトルスポンサー料やサブスポンサー料、広告収入やテレビ中継料などを合算すると500億ウォン(約50億円)は下らないとされている。
そうした収益も2000人を超えるKLPGA会員たち、つまり選手や関係者たちがいてこそという思いがあるこそ、KLPGAは大会開催を決めたのだ。
実際、今大会は特別な冠スポンサーはなく、KLPGAが自腹を切って開催する。すでに中止となった7つの大会の賞金として使う予定だった61億ウォンが累積財源としてあり、それを今大会の運営費や賞金に充てているのだ。
そうしてKLPGAが捻出した当初の賞金総額は23億ウォンだったが、KLPGAキム・サンヨル会長が率いるHOBANグループや、大会が行われるレイクウッドカントリークラブ、SBSゴルフなどがスポンサードの意思を明かしながら、7億ウォンが増額され、賞金総額30億ウォンの規模となった。
ちなみにHOBANグループはキム・サンヨル会長が一から作り上げた韓国有数の住宅建設業の大手。創業者がKLPGAのトップということもありHOBANグループは「大会を成功裏に開催し、最大限に多くの選手に賞金が届くことを願う」と4億ウォンを支援している。
KLPGAやHOBANグループの思いは現実のものとなり、今大会では出場選手全員に賞金が出る。本当の意味で“分け合い”が実践される大会だ。
というのも今回のKLPGAチャンピオンシップは、韓国女子ツアーでは初となる「Made cut, Did not Finish」(MDF)方式で行われる。予選を通過できるのは102位タイ以上の選手だが、それ以下の選手にも賞金が支給されることが決まっているのだ。
優勝賞金は2億2000万ウォン(約2200万円)で、トップ10入りした選手が3000万ウォン(約300万円)、11位の選手にも2859万ウォン(約286万円)が与えられる。予選を通過できない103位でも1000万ウォン(約100万円)の賞金だ。
さらに最下位150位の選手でも、624万6667ウォン(約62万円)を獲得することができる。
KLPGAは「大会を開催する趣旨に最も適切な賞金料率を適用するために苦心した。すべての選手が賞金を受け取りながらも、選手たちの賞金順位が序盤から格差が出る部分を最小化できるように、総合的に考慮した」と説明している。
まさに“初物尽くし”の大会ということだが、いずれにしても注目したいのはトップ選手たちのプレーだ。日米韓で活躍するスター選手が出場するだけに、大会3日目となる本日(5月16日)、そして最終日まで彼女たちの一挙手一投足を見守りたい。
(文=慎 武宏)
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