経済の論理を考えれば再開は不可避だが、競技の当事者である選手たちは安全保障を叫び、反対の声を上げている。
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新型コロナウイルス感染症の影響で中断状態にある欧州で、各国リーグが再開へ動き出している。
ドイツ・ブンデスリーガはすでに5月15日からの再開を確定。イングランド・プレミアリーグも来月初めの再開を見込んでいる。
イギリス政府は5月11日にプロスポーツ再開のガイドラインを発表し、6月1日から無観客であれば再開可能であることを示した。これにより、プレミアリーグ事務局は早速リーグ再開計画の具体化に取り組んでいる。現時点では6月8日からの再開が有力視されている。
スペインのラ・リーガやイタリアも、6月中の再開を検討しているという。
とはいえ、欧州は依然として新型コロナのパンデミックから抜け出せていない。
最も対処がなされていると評価されているドイツでさえも、11日には697人の感染者を記録した。イギリスはその数字をはるかに上回る3877人の感染者が発覚。スペインとイタリアでもそれぞれ3480人、744人となっている。
大きな問題は、選手内部での感染者が相次いで現れていることだ。ドイツやイングランド、スペインなどで、選手もしくはスタッフに感染者が発覚したニュースが続けて報じられている。
それでも再開が検討されるのは、資本の論理があるからだろう。本紙『スポーツソウル』のチョン・ダウォ記者は、欧州リーグ再開の動きを「資本と安全の価値衝突」と見出しを打って報じた。
欧州において、サッカー市場は比較的大規模な部類に入る。リーグが中断されたことで、各クラブはもちろん、関連企業らもすべて経営難に直面した。だからこそ、無理してでも再開を目指しているのだ。
こうした再開の議論が具体化される過程で、特にプレミアリーグを中心に、選手から反発の声が上がっている。
イングランド代表DFダニー・ローズ(29・ニューカッスル)は「政府は“国家の士気を高めるためのプレミアリーグ再開”を口にしているが、自分はまったく気にしていない。人々の命が危ない。サッカーは、新型コロナの感染者数が大幅に減るまで話されてはならない。新型コロナの局面で、サッカーは一番最後に整理されなければならない」と、現状でのリーグ再開に反対の意を示した。
また、選手間の感染が懸念されるため、再開させてはならないとの主張もある。かつてリバプールやトッテナムでプレーした元イングランド代表MFジェイミー・レドナップ氏(46)は以下のように話す。
「練習場に戻って来たとき、選手たちが安全だと感じられることが重要だ。今の状況はそうではない。毎日数百人が死んでいく世界的なパンデミックが話される中、一方ではサッカーの再開が話されている」
「我々はこれ以上人が死なないと判断されてから、サッカーを取り上げなければならない。このパンデミックを終えた後にしなければならない。再び人々が活動できるという自信が無ければならない」
現役・引退問わず選手から反対の声が上がっている現状で、プレミアリーグをはじめとする欧州各国リーグは再開に踏み切るのだろうか。
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