開幕目前の韓国Kリーグ、延期と試合数縮小が与える「大きすぎる悪影響」とは

2020年05月07日 サッカー #Kリーグ
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待ちわびていたKリーグの開幕が目前に迫ってきた。

2020シーズンのKリーグは例年とは違う。全世界を脅かした新型コロナウイルスの影響だ。

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韓国は新型コロナの脅威が落ち着き、元来予定された開幕日から69日遅れた、来る5月8日に幕を上げる。開幕戦を飾るのは全北現代と水原三星だ。

今シーズンは新型コロナの余波でリーグのスケジュールに大きな変化が生じており、Kリーグにどのような影響を与えるのかが関心を集めている。

一度も経験したことがない不安

大多数のクラブは、5月8日の開幕がチームの戦力にマイナス要因になると予想した。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)

それもそのはず、選手団は今シーズンも例年通りに決められた時間表に従い、検証されたシステムを通して開幕の準備を進めてきた。1月の海外キャンプを通じて体力づくりに力を入れ、2月からの練習試合を通じて実戦感覚を引き上げながら開幕を待つのが恒例だ。

今年も例年と同じスケジュールで準備をしてきたわけだが、本来の開幕日の5日前に、すべての予定が中断されてしまった。本来予定されていた開幕日よりも2カ月以上過ぎた、5月初めになってようやくシーズンが始まる。

開幕日の決定を待つ間、選手たちはいつ開幕するのかわからない不確実性のなかで、しっかりとしたトレーニングを行うことができなかった。さらに新型コロナ感染拡大防止のために外部活動が自粛となり、選手たちのストレスも少なくなかった。パフォーマンスが下がる要因が、それほど多いという意味だ。

Aクラブの関係者は「1カ月以上も外部との練習試合ができなかったし、シーズン開幕日が決まらない期間は選手たちのモチベーションも低下するしかなかった。その部分がパフォーマンスの低下として現れないか心配になる。またシーズンが開幕しても、Kリーグの関係者から感染者が生じることに対する恐怖が、競技力に影響を与えることも考えられる」と予想した。

Bクラブの関係者は「企業クラブに比べて相対的に市・道民クラブは選手団運営システムが充実していない。開幕延期の取り組みにおいては、市・道民クラブの困難が大きくなるしかない。開幕時点で選手たちのコンディションと戦力を最大化することは容易ではない」と説明した。

シーズン縮小と平日試合最小化…異変の火種に?

開幕延期により今季Kリーグ1は、38試合から27試合へと試合数が30%ほど縮小した。またアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の日程が決まっておらず、新型コロナの影響による予備日として週中に行えるラウンドは1回に過ぎない。

FAカップはあるものの、1週間に1試合というスケジュールが例年に比べてかなり多くなるしかない。そのためシーズン縮小と平日試合最小化が、リーグに影響を与える可能性があるとの見方が出ている。

1週間に1試合となれば、選手層の厚さには大きな意味がない。レギュラーとバックアップの実力差に関係なく、ベスト11が強いクラブが強豪として浮上する機会が開かれる。

3~4日間隔の試合が続いた場合、体力的な負担が原因でローテーションを活用するしかない。しかし1週間に1試合となれば、選手たちに十分な回復時間を確保することができるので、怪我などのアクシデントがなければベスト11を継続して起用することができる。主力メンバーの組織力が強いクラブにとっては、シーズン縮小がメリットになる。

ビッグクラブのもうひとつの悩み

Kリーグ、FAカップ、ACLなど3つの大会を考慮して、冬の間、戦力補強を行ったクラブは、シーズン縮小によって意気消沈した状況だ。昨シーズン、激しい優勝争いを繰り広げた全北現代と蔚山現代が代表的だろう。

両チームはKリーグでさえも、ダブルチームを構築することができるほど選手層が厚い。トップクラスの選手を毎年冬に獲得し、戦力強化に努めてきた。昨冬も全北現代はリーグMVPキム・ボギョンを筆頭に、チョ・ギュソン、ク・ジャリョン、オ・バンソクなどを迎え入れ、蔚山現代もチョ・ヒョヌやイ・チョンヨン、コ・ミョンジンなどを獲得した。

全北現代と蔚山現代は、Kリーグ開幕を控えてACLで実戦を経験した点では有利だが、今後は試合数の減少によってスタメン競争が激化するしかない。

韓国と異なり、日本などのアジア諸国がまだ新型コロナの脅威を受けている。そのためACLは6月の再開も不透明で、再開されないという見通しまで出ている。もしACLが再開されなければ、全北現代と蔚山現代は好メンバーが揃うチームを管理することが容易ではない。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)

全北現代の関係者は「選手が最も多いクラブなのに試合数が減り、ACLもしばらくないため、試合に出場できない選手が多くなることが懸念される。それによるクラブの雰囲気も心配だ。コーチングスタッフの役割が大きくなりそうだ」と明らかにした。

練習試合なく、開幕戦が初実戦

誰もが同じような悩みに直面しているが、特に悩みが大きいクラブもある。尚州尚武と大邱FCだ。

両クラブはここ3カ月ほど、他のクラブと実戦試合を行えないまま開幕戦を迎える。両チームには、それぞれの事情があった。

大邱FCは2月末から大邱(テグ)・慶尚北道地域が新型コロナ事態の中心地となり、選手団の管理に苦労した。事実上、2カ月以上も隔離状態でトレーニングを進めており、韓国プロサッカー連盟が4月中旬に他クラブとの練習試合を解禁したが、大邱FCは実戦を行えなかった。

大邱FCの関係者は「まだ地域内では新型コロナの影響が濃く残っている。他クラブとの練習試合をしないほうがいいという結論を下した。不必要な移動を自制する意味もあり、他のクラブが大邱に入ることを嫌ったという理由もある」と説明した。

尚州尚武は“軍隊チーム”という特殊性が足を引っ張った。

尚州尚武は1月、キャンプのために中国に向かったが、新型コロナの影響で早期帰国となり、国軍体育部隊内で2週間の隔離生活を行った。その後、釜山(プサン)でキャンプを消化したが、部隊に復帰した直後の2月22日から感染拡大防止のために、すべての将兵の外出、外泊、休暇が禁止された。

韓国国防部は4月24日から段階的に将兵の外出を許可しているが、尚州尚武の選手団が練習試合を行える条件には至らなかった。最終的に尚州尚武は、部隊内のトレーニングを通じてコンディションを引き上げながら、開幕戦を準備している。

尚州尚武の関係者は「紅白戦を通じて選手たちのコンディションを引き上げてきた。しかし他クラブとの練習試合ほど緊張感が高くなく、実戦でパフォーマンスがどのように発揮されるかは未知数だ。体力面を準備するうえでも困難があるかもしれない」と明らかにした。

さまざまな不安要素は存在するものの、5月8日19時に行われる全北現代と水原三星の開幕戦を皮切りに、2020シーズンのKリーグが始まる。日本でもユーチューブを通して開幕戦を観戦できるだけに、注目したい。

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