「これからはKリーグの選手も、自身の年俸がどう決まってどれほどの価値があるかを知るべきだ」
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KリーグのとあるクラブAのマーケティング担当者は訴えるようにこう話した。高い年俸を受け取る特定の選手が、クラブの社会貢献及びマーケティング活動に対してあまりに非協力的だったからだ。
また、とある選手はシーズン終盤に「試合だけに集中すべき時期だ」と社会貢献活動への不参加を堂々と宣言。結局、控えメンバーや出場機会の少ない新人が彼の穴を埋めた。
このような話はKリーグでは珍しくない。いくら文化や構成員の認識が進化したとはいえ、現実では選手本人の価値認識が大きく変わっていないのだ。
特に、選手の“グラウンド外の価値”を所属チームの指導者が無関心に感じる場合が多い。「サッカー選手はボールだけ蹴っていれば良い」という主張だ。
あながち間違ってはいないとはいえ、“プロ”というカテゴリーであることを考えればあまりに極端な思考だ。プロは職業とするスポーツで大衆人気を集め、興行性をより大きくすることも活動の一つである。
つまり、プロの存在価値、年俸など数字で表す価値のすべては、ファンがいなければ上げることはできない。試合で良い成績を残すことと同程度に、自身の価値を高めてファンにサービスを行うのは選手にとって非常に重要だ。
プロサッカーは多くて週に1~2回公式戦を行うのみで、基本的にはグラウンドの外にいる。普段のトレーニングが主な業務とはいえ、残りの時間をどう過ごすかにプロとしての自覚が問われる。
にもかかわらず、このような価値に同意できず、メディア活動やファンサービス、社会貢献活動などへの参与は選手と無関係と考える指導者が現実では多い。
選手運営チームで長く勤めたクラブBの関係者は次のように語る。
「国内の選手は幼いころから閉鎖的な文化に慣れてしまっている。だから、一部の選手は練習以外のクラブ行事への参加を損や不必要と認識してしまう」
過去には指導者自ら線引きをしてしまうケースもあった。最近では若い指導者が対外活動への選手派遣に賛同しているが、当の選手本人が受け入れないこともあるという。
クラブCで年俸交渉の実務を担当する関係者は「大半のクラブは毎年冬、選手のエージェントと交渉を行っている。だが、出場時間やゴール・アシスト数だけで選手の価値を評価してしまっている。記録だけでしか交渉しないのだから、選手の認識も変わるわけがない」と指摘した。
他にも、複数の年俸交渉実務担当者が「選手によるメディア露出効果やファンの反応、社会貢献活動の意味などを盛り込んだ年俸交渉ガイドラインを別途に設けることも良いだろう」と口をそろえた。
「(記録だけを見た場合でも)年俸交渉に明確な基準はない。選手のグラウンド外のスター性やファンサービスなどを(記録のように)客観視し、数値として出すのは現実的に難しい」と話すクラブDの関係者は、「ただ、選手の社会貢献活動参加回数などを記録し、担当者の定性的な評価を通じてA~C評価でランクを付け、今後の年俸算定基準の一定割合を決めることは可能だろう」と強調した。
他国リーグと比べて親企業や地方自治体の支援金への依存度が高いKリーグ。今後は、選手の本質的な価値に注目すべきだろう。
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