野球よりもサッカーは非協力?「取材文化」が対照的なプロ野球とKリーグ

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「正直、今もまだ記者と会うのがぎこちない」

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昨冬のキャンプで、Kリーグのあるベテラン選手が取材陣にこのように話した。

1982年、1983年とスタートし、長い歴史を誇る韓国プロ野球KBOリーグとプロサッカーのKリーグは、これまで善意の競争を繰り広げてきた。

韓国の2大スポーツとして位置づけられた2つのプロスポーツだが、それぞれ異なる文化もある。

開放的な韓国プロ野球、形式的なKリーグ

最も顕著なのは、選手とメディア間の関係構築だ。

韓国プロ野球の取材風景

韓国プロ野球選手は開放性のある“ダッグアウト文化”を通じ、メディア関係者と気楽にコミュニケーションを取る。

しかし、Kリーガーの場合、形式的な記者会見や共同取材区域(ミックスゾーン)に限って取材陣を相手にするなど、閉鎖的だ。

韓国プロ野球には、試合前後の監督インタビューといった公式的な空間の他に、形式的でない“ダッグアウト取材文化”がある。サッカーで例えると、ベンチのような空間でも試合前後で取材陣の出入りが自由なようなものだ。

自然に行きかう選手と対話をするため、率直で人間味のあるコンテンツを発信することができる。仮に記事にせずとも、選手と取材陣が友好的な関係を結ぶことができる社交の場でもある。

もちろん、選手の試合準備や試合後の整理に不便をかけない範囲でメディア活動が行われる。

韓国プロ野球は週6回試合が行われるため、ルーキーでさえも取材陣対応に慣れている。チームの士気高揚や自身のPRのため、メディアを積極的に活用するケースもある。

そのため、韓国プロ野球は国内でもプロ選手とメディアの共存構造が定着した種目に挙げられている。

一方、多くて週2回程度の開催にとどまるKリーグは、試合前後の監督及びヒーロー選手のインタビュー以外で、現場で公開しうるコンテンツが少ない。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)

クラブのバスへ向かう途中にミックスゾーンを通る選手を引き留めて取材を行うが、ミックスゾーンでの取材対応は選手の義務事項ではない。いわば“気が向かなければしなくても良い”のだ。

仮にインタビューできたとしても、帰路の途中に引き留めて立ちながら取材をするので、本音を引き出すことは不可能に近い。

そのため、試合翌日など別途時間を設け、クラブを通じて選手にインタビューのアポイントを取ることが、注目されるコンテンツ創出の機会となる。

Kリーグは“広報の人員不足、指導者の認識不足”

韓国プロ野球とKリーグで取材文化が異なる理由は、2つの核心部分が異なることにある。

1つは、選手と取材陣の架け橋の役割を担う広報の人材数と業務文化だ。

韓国プロ野球や試合数が多いこともあり、基本的にすべての取材陣の要求や選手のメディア露出を極大化させる考えが大きい。球団ごとに、マーケティング担当を除外しても広報には平均4人以上の人材がいる。

しかし、Kリーグではマーケティング担当を含めても平均4位人を下回るクラブが多い。基本的に、広報担当はたった1人なのだ。

韓国プロ野球では、広報の人員が試合前にダッグアウトにすべて配置され、メディア活動をサポートする。試合中は記者室に同席し、主要な事案を伝達する。

一方のKリーグは、試合当日、広報担当が取材陣対応以外に他の業務に追われる状況が多い。10年間クラブの広報を務め、後に退社したという元関係者は、当時の経験を次のように語る。

「上層部がメディア業務の重要性を認知できていないケースが多い。突拍子もなく仕事を任せた後、(メディアで)何かが起きれば責任を言及することもあった」

2つ目には指導者の認識不足が挙げられる。

あるクラブの広報担当は「長い間、あらゆる監督を迎え入れたが、指導者の性向によってクラブ独自のコンテンツ生産やメディアの役割範囲がはっきりと変わる。最近の若い指導者は選手のメディア露出がチームの士気高揚に役立つと考えているが、過去には露出を嫌うほうが多かった」と話した。

韓国プロ野球は、発足初期から取材文化が自由だったという。

あるベテラン野球記者は「以前はダッグアウトだけでなく、ロッカールームにまで出入りしながら監督や選手とコミュニケーションを図っていた。指導者世代がこうした文化に慣れているため、それが後輩にもつながっている」と説明した。

一方のKリーグは、昔から取材陣と距離を置き、ロッカールームも“神聖な空間”という認識が強かった。そのため、広報担当者らの出入りも防ぐことが多かった。

このような状況を考慮し、韓国プロサッカー連盟は2016年以前からキックオフ90分~70分前までクラブ指定場所(ロッカールーム前、スタジアム出入りの通路、グラウンド周辺、ミックスゾーンなど)で選手のメディア対応を規定に設けていたこともあった。

しかし、この施策は活性化にはつながらなかった。試合前、グラウンドと室内練習場などを行き来する選手の同線を正し、取材陣と連結する広報担当者の役割が制限されたからだ。一部の指導者の中には、試合前のインタビューに対し否定的な考えもあったという。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)試合前、取材に応じる全北現代モータースのモライス監督(写真中央)

広報担当の経験があった元関係者は「プロバレーでは“ファン・ファースト”ということでファンのロッカールーム出入りが認められ、プロバスケでは作戦タイムの監督の指示をファンも中継で見ている」とし、次のように力説した。

「サッカーファンも、このような要素を望んでいるはずだ。たちまち変えることはできないにしても、ロッカールームやベンチなど、選手とメディアが接触する空間を多角化することも、Kリーグの興行につながる良い方法ではないか」

Kリーグでも韓国プロ野球の“ダッグアウト文化”のような取材文化が醸成されれば、メディアを通じてさらなるコンテンツが発信されることだろう。

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