「マイナーリーグの選手たちには、僕と同じような辛い時間を送ってもらいたくない」
テキサス・レンジャーズのチュ・シンス(37)が、チーム所属のマイナーリーガー190人に1000ドルずつ、合計約19万ドル(日本円=約2300万円)を支給したことがわかった。
現地メディア『ダラス・モーニングニュース』が4月2日(日本時間)に報じたところによると、チュ・シンスが自身のマイナーリーグ時代を振り返り、後輩に善行を施したという。
チュ・シンスは同メディアとの電話インタビューに応じた際、次のように述べた。
「マイナーリーグ時代のことは今も忘れられない。当時の僕は、毎日食べて生きることを計画にしていた。今のマイナーリーガーたちには僕と同じようなことになってもらいたくない。僕のように辛い時間を送ってもらいたくない。多くの人が大変な時期を送っているが、僕は彼らを助けられる。野球を通じて多くのものを与えられた。受けた恩を返したい」
チュ・シンスは15年前、トリプルAで過ごした時間を回想していた。当時、週給350ドル(約4万3000円)をもらっていた彼は、第一子誕生の際、食事代をおむつ購入の足しにした。
アウェー遠征時に支給される食事代20ドルを、おむつ代に充てていたのだ。
チュ・シンスの善行に、レンジャーズ所属のマイナーリーガーは感謝の気持ちを表した。
コール・ウビラ(26)は自身のSNSで、“最も偉大な人”を表す羊の絵文字をチュ・シンスに送った。スコット・エングラー(23)も、以下のようにお礼を述べた。
「チュ・シンスが素晴らしいことをした。でも、驚くべきことではない。彼はいつも周りの人を助けてきた。チュ・シンスは本当に思慮深い人だ」
「チュ・シンスとは数回話したことがある。彼はいつも他人を思いやって配慮している。もっと尊敬されるべき人だ。僕がメジャーリーグでプレーできるときが来たら、どんな方法でもチュ・シンスに応えて見せたい」
チュ・シンスは、新型コロナウイルス感染症で甚大な被害を受けている韓国・大邱(テグ)市にも2億ウォン(約2000万円)を寄付していた。「全員が力を合わせる時期だ。何とかして今の厳しい状況を乗り越えなければならない」とチュ・シンスは話す。
そして、「皆、お金を稼ぐために熱心に生きている。そうすると、時には家族の大切さを忘れてしまう。家族との会話がうまくいかないときもあるだろう。神様が、僕たち全員に家族の大切さを教えてくれているのではないだろうか」と、自宅で家族と過ごしている自身の近況も伝えた。
2001年、若くしてシアトル・マリナーズと契約したチュ・シンスは、2005年までマイナーリーグでプレーした。
有望株として活躍が期待されていたが、当時マリナーズの“スーパースター”イチロー(46)の陰でメジャーリーグでの出場機会を得られず、2006年7月にトレードで加入したクリーブランド・インディアンスでメジャーデビューを果たした。
インディアンスで中心選手として活躍したチュ・シンスは、2013年冬にテキサス・レンジャーズと7年1億3000万ドルの大型FA(フリーエージェント)契約を結んだ。
チュ・シンスとレンジャーズの大型契約は、今シーズンで満了となる。
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