収益の大きな比重を持つホームでの試合を開催できず、クラブ運営が困難に直面した。入場収益はじめ、広告やスポンサー放映権分配などの問題が重なったためだ。
そのため、少なくないクラブで選手の給料削減による問題解決が図られている。ユベントスやバルセロナといったビッグクラブはもちろん、下部リーグの中小規模のクラブも同様の選択を取っている。
特にユベントスの場合、選手全員が削減する給料総額は9000万ユーロ(日本円=約120億円)に上ると知られている。とあるクラブに至っては、選手の解雇を強行するほどに深刻な財政難に陥っているのだ。
だが、欧州と同程度の中断期間が経過したKリーグでは、同じようなパニック状態が起こる可能性は低いとみられている。
もちろん、Kリーグも欧州と同様に入場収益や広告契約などの問題で頭を悩ませているのは事実である。とはいえ、選手たちの年俸を削減するほど財政状況が危険なわけでもないのだ。
とあるKリーグクラブの関係者は「開幕延期によって、開幕以前に予想した収益とは差があり、難しさもある。だが、Kリーグの構造上、欧州と同レベルに深刻な段階にはならない。クラブ毎に事情が違うとはいえ、大部分は共通しているだろう」と述べた。
そのため、選手自らの給料カット提案の雰囲気もないという。
一部の選手は、新型コロナのための寄付には同意したものの、クラブのための給料カットについては自発的な動きがみられていないようだ。選手たちはチーム練習を消化しているために簡単に決定できる問題ではないとはいえ、そもそも給料カットに対する必要性を大きく感じていないことが要因だろう。
Kリーグ各クラブは、親会社(企業クラブ)や地方自治体(市民クラブ)から支援される予算によって運営される。クラブ自身による収益は微々たるものであるため、親企業や自治体から支給される予算に大きな変動さえなければ、問題なく運営できるという仕組みだ。
だからこそ、開幕が1カ月以上延期したとしても、Kリーガーの給料カットの話題が出ないのだろう。商業性が重要なプロスポーツとしての機能を、Kリーグが完全に果たしているとは考え難い。
欧州各国リーグと異なるKリーグの現状に、関係者も感じる部分があるようだ。
Kリーグ関係者は、「欧州クラブの給料カットのニュースをみて色々考えることがある。選手たちが自発的に少なくないお金を放棄するケースが多いが、Kリーグとはかけ離れた話ではないか。開幕ができなくても異状なく給料をもらえるため、選手自身も問題があるとは感じないようだ。そのため、給料カットの議論も起きないのだろう」と話す。
新型コロナの事態に収束が見えない中、今シーズンのKリーグはどのような運営方式となるだろうか。そして、欧州で起きている給料カットはKリーグでも行われるのだろうか。