欧州サッカー連盟(UEFA)は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、今年6月に開催予定だったEURO2020の1年延期を発表した。
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この決定は、オリンピック本選を控えたU-23韓国代表にも少なからず影響が及ぶとみられる。主力を担う欧州組の招集問題にも大きくかかわるからだ。
U-23韓国代表率いるキム・ハクボム監督はじめとする韓国サッカー協会の関係者は、新型コロナが全世界に拡散する中で果たして本当に2020年東京五輪を開催するのかどうか、その是非に神経をとがらせている。
最近では一部の日本メディアも“IOC内部でオリンピックの中止もしくは延期が検討されている”と報じるなど、緊張感が漂っている。
オリンピックのサッカー競技はU-23世代の選手が出場する。韓国代表選手にとっては、オリンピックはメダル獲得成功によって兵役免除の恩恵を受けられる機会でもある。なおさら、開催の有無に敏感になるほかない。
仮にオリンピック開催が1年延期となれば、今年で23歳になる1997年生まれの選手の出場は不可能になる。
ただでさえ、新型コロナの影響で練習試合が中止になるなど正常なスケジュールを消化できていないにもかかわらず、オリンピック本選すら中止になる可能性にキム監督は焦りを見せたはずだ。
国際オリンピック委員会(IOC)は去る3月17日(日本時間)、各種目の国際競技連盟代表者とのビデオ会議を通じ、今夏のオリンピック開催を強行する意志を示した。ひとまず、オリンピック開催の可能性が残されたことにキム監督も胸をなでおろしただろう。
しかし、障害物はまだ残っている。
EURO2020、コパ・アメリカなどサッカー界のメジャーな大会が相次いで延期となった。
特にEURO2020の延期決定は、オリンピックを控え“欧州組”の招集時期を見計らわなければならないキム監督にとって、困難となる可能性が高い。
キム監督は練習試合の確保が厳しいことを受け、チーム内でのトレーニング期間を増やす案を示している。そこで問題となるのは、本選で主力級の活躍が期待される欧州組の招集時期だ。
U-23韓国代表の招集対象となる欧州組は、イ・ガンイン(19・バレンシア)、ペク・スンホ(23・ダルムシュタット)、チョン・ウヨン(20・バイエルン・ミュンヘンⅡ)らU-23世代や、クォン・チャンフン(25・フライブルク)などオーバーエイジ候補の選手たちだ。
キム監督は、本選1カ月前から招集が可能であることを考慮し、国内組はもちろん欧州組も最大限早期に招集できる方法を模索している。
特にイ・ガンインとペク・スンホは昨年からキム監督自らクラブを直接訪問し、代表派遣への協力を求めたが、今年1月のU-23アジア選手権では彼らの招集に失敗した。それでもオリンピックでは招集できるよう、協会と多方面に協力を呼び掛けている。
しかし、若き欧州組がプレーするスペインやドイツでは、現在新型コロナ感染者が急激に増加しており、国内リーグ戦の中断は4月まで続く可能性が高い。
6月に予定されていたEURO2020が延期されたことで、欧州5大リーグの大半は、終了時期を本来の5月から延長して6月まで余裕をもって行うという姿勢が表れている。そうなった場合、各クラブの代表派遣にも影響は及ぶだろう。
オーバーエイジ枠選出はさらに困難だ。国際サッカー連盟(FIFA)の規定上、各クラブがオリンピックのオーバーエイジ枠に選手を派遣することは義務ではない。
4年前の2016年リオ五輪では、当時のU-23韓国代表を率いたシン・テヨン監督がオーバーエイジ枠のソン・フンミンに早期合流を求めたが、クラブの反対によってグループリーグ初戦の4日前にようやく合流した。
逆に、8年前の2012年ロンドン五輪ではパク・チュヨンやク・ジャチョル、キ・ソンヨンなどの欧州組が早々に所属チームと連携を取り、ホン・ミョンボ監督(当時)が率いる代表チームに合流することに成功。韓国に史上初の銅メダルをもたらした。
現在、協会の専務理事を務めるホン・ミョンボは、監督としてオリンピックを経験したからこそ、欧州組の招集時期の重要性を誰よりも理解している。そのため、キム監督とともに欧州各地のクラブに直接訪れ、協力を依頼している。
だが、新型コロナの事態が長期化し、欧州各国リーグの日程が6月にまでずれ込むようなら、キム監督の描く招集のシナリオの実現は難しくなるだろう。
キム監督悩ます新型コロナの拡散は、一体いつ終わりを迎えるのだろうか。
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