日本プロ野球の開幕延期が決まるのと時を同じくして、韓国のプロ野球も開幕延期が決定した。
新型コロナウイルスという想定外の脅威によって、韓国プロ野球は1982年の発足から初めてリーグ開幕を延期することになったわけだが、選手や監督のモチベーション維持が懸念されている。
気落ちしているのは、選手や監督だけではない。“球場の華”と呼ばれ、韓国プロ野球を盛り上げる美女チアリーダーたちの心境も複雑だ。
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例えば、韓国プロ野球ハンファ・イーグルスやKリーグ蔚山現代のチアリーダー、チョ・ヨンジュは『スポーツソウル』とのインタビューで「一日も早く、何の心配もなく、ファンと向き合って応援できる日が来てほしい」と話した。
観客席で応援を盛り上げるチアリーダーたちの日常は、プロスポーツと密接に関係している。試合がなければ彼女たちの出番はなく、試合があっても無観客であればそれは同じだろう。
そのため選手だけでなく、彼女たちも現在、例年とは違う日々を過ごしているらしい。
前出のチョ・ヨンジュは「私たちも外出を控えて気をつけている。あまりにも長い間、自宅で生活しているから、もう本当に外に出たいと思った。今は個人練習をしている。チアの先輩や後輩とも長らく会っておらず、早く会いたい」と漏らしていたという。
リーグ開幕を願う気持ちが強いのは、生活に直結する可能性も高いからでもあるだろう。
そもそも韓国におけるチアリーダーたちの労働条件は、見た目ほど華やかではない。
以前、インタビューした韓国No.1チアリーダーのパク・キリャンは、「チアリーダーの給料は経歴によって変わります。私はチーム長なので、月給を受け取れます。でもアルバイトのように、1試合いくらという人も少なくないんです」と話していた。
同じく人気チアリーダーのキム・ヨンギョンも韓国メディアに、「誤解が多いんです。所属事務所でチアリーダーとして受け取る給料に、個人の写真集撮影やテレビ出演、広告モデルなどの収入を加えても1億ウォン台(約1000万円台)に近づくことさえできないですよ」と明かしたことがある。
正確な数字は明らかになっていないが、給与は月100万ウォン~250万ウォン(約10万円~25万円)ほどで、賃金水準はここ10年でほとんど変動がないとか。
球団やイベント会社と月給契約できる者はまだ幸せなほうで、単発出演の新人チアリーダーの日当は多くても10~15万ウォン(約1万円~1万5000円)にしかならないそうだ。
つまりプロ野球の試合がなければ、収入がないという状況に陥ってしまう。リーグ開幕が遅れれば遅れるほど、彼女たちへの影響も大きくなっていくだろう。
それでもチアリーダーたちは今も応援を続けている。
韓国のプロスポーツはオールストップ状態だが、新型コロナウイルスを克服しようとSNSに「頑張ろう!韓国」と“投稿リレー”を行っているのだ。
韓国プロ野球キウム・ヒーローズのチアリーダーで、“高尺(コチョク)ドームの女神”と呼ばれるキム・ハンナは3月8日、インタグラムに「これ以上コロナ被害者が増えないことを願います。頑張ろう、韓国」とのコメントを入れた写真を投稿した。
そして「リレーを引き継ぐのは〇〇〇チアリーダー」などと指名し、応援投稿のリレーを盛り上げた。チョン・ユミン、ウォン・ミンジェ、シン・セヒ、前出のキム・ヨンギョンらのチアリーダーも投稿リレーに参加している。
彼女たちはスポーツの現場でチームの応援はできなくても、違う形でチアリーディングを続けているわけだ。
いずれにしてもプロスポーツの開幕延期や中断は、チアリーダーたちにも影響を与えていることは間違いない。新型コロナの余波がこれ以上拡大しないことを願うばかりだ。
(文=慎 武宏)
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