移籍の舞台裏、Kリーグ蔚山現代は韓国代表MFイ・チョンヨンをどうやって獲得したのか

2020年03月04日 サッカー #Kリーグ
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Kリーグの蔚山現代が韓国代表イ・チョンヨン(31)の心を掴んだ決定的な要因は、純度100%の真心だった。

2度のワールドカップ(2010年南アフリカ、2014年ブラジル)を経験したベテランMFイ・チョンヨンは、最終的に蔚山現代の青いユニホームを着ることになった。

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蔚山現代は3月3日、チーム内における最高待遇でイ・チョンヨンを獲得した発表した。イ・チョンヨンは、蔚山地域の象徴のような大王岩公園の太和樓(テファル)を背景に、青いユニホームを着たまま明るく笑った。

イ・チョンヨンは、新シーズンに備えた蔚山現代の最後のピースだ。ユン・ビッカラム、コ・ミョンジン、チョン・スンヒョン、キム・ギヒなど攻守に国家代表級のメンバーを集めた蔚山現代は、サイドの補強がカギだった。

ウィンガーだったファン・イルスが慶南FCに移籍し、イ・グノも負傷でリハビリ中だ。チョン・フンソンやキム・インソンなど、スピードのあるサイドの選手もいるが、Kリーグとアジア・チャンピオンズリーグといった多数の大会で優勝を狙うだけに、大舞台の経験を持つベテランが必要だった。

最終的にサイドだけでなく、攻撃的MFも担えるイ・チョンヨンを獲得しながら、さらにチームに重みを加えることとなった。

(写真提供=蔚山現代)蔚山現代に移籍したイ・チョンヨン

2年前のラブコール

では蔚山現代は、どのようにイ・チョンヨンの心を掴んだのか。重要なキーワードは、“真心”だ。

蔚山現代は2年前にも、イ・チョンヨンに手を差し伸べた。当時のイ・チョンヨンは、イングランド・プレミアリーグのクリスタル・パレスで出場機会を得られず、気落ちし、韓国復帰に目を向けていた。

当時イ・チョンヨンは、優先交渉権を持つ“古巣”FCソウルと接触したが、求める水準の待遇とは距離が遠かった。そのとき蔚山現代は、国内最高の待遇を約束して接近した。

そうするうちにイ・チョンヨンのヨーロッパ現地のエージェントが、ドイツ・ブンデスリーガのボーフムとつながり、欧州で挑戦を続けることになった。

イ・チョンヨンは当時、蔚山現代に行くことはできなかったものの、選手として肉体的、精神的に最も困難な時期を過ごしていた自分の価値を認めてくれた蔚山現代に、感謝の気持ちを感じた。

そうして2年が経った。イ・チョンヨンは選手晩年、事実上の最後の挑戦を夢見た。中東や中国リーグからもラブコールがあったが、プロとして成長する土台となったKリーグでの活躍を願った。

また長い期間、異国で自分自身も寄り添ってくれた家族を安定した環境で過ごせるようにすることも、“家長”イ・チョンヨンにとっては重要な部分だった。

イ・チョンヨンへの変わらぬ評価

今回も2年前と同じく、イ・チョンヨンはまずFCソウルを訪れた。交渉を主導した主要人物は2年前と変わったが、結果は大きく変わらなかった。イ・チョンヨンは少なくない心の傷を負った。

FCソウル時代のイ・チョンヨン

そんななか蔚山現代は、再びイ・チョンヨンに接近した。いつの間にか30台に入ったイ・チョンヨンに、蔚山現代は2年前と同じような最高レベルの待遇を保証した。

その交渉過程もイ・チョンヨンに信頼を与えた。

イ・チョンヨンはボーフムと今年の夏まで契約期間が残っていた。しかし蔚山現代は、Kリーグ復帰を希望するイ・チョンヨンに、クラブと契約相互解約などの関係整理を無理に要求しなかった。

代理人をボーフムに派遣し、移籍金交渉に乗り出した。大きな金額ではなかったが、蔚山現代はイ・チョンヨンの移籍金を支払った。特にボーフムがイ・チョンヨンの移籍を望んでいなかったり、無理に移籍金を引き上げて獲得が難しくなったりしても、今夏にフリー(FA)の身分になったときに獲得する意思も明らかにした。

そういった内容を蔚山現代の強化部長などが、イ・チョンヨンと頻繁に連絡をして伝えていたこともわかった。

イ・チョンヨンは、心から自分を求めてくれる蔚山現代に心を開いた。欧州でプレーするときに得ていた年俸に達していなくても、最良の待遇をしてくれた蔚山現代と手を握り、最後の挑戦をすることを決めた。

真心でイ・チョンヨンを獲得した蔚山現代。その思いに彼がどう応えるのか、注目したい。

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