NAVERは、創業から15年間で20回以上の吸収合併を行い、自社のノウハウや技術を蓄え、外形を拡大してきた。
韓国ナンバーワンの検索事業も数多い吸収合併の末に完成した。
検索ソリューション専門企業・サーチソリューションや、KAIST出身の検索技術エンジニアたちを集めて作られたエキスパートベンチャー企業の1NOONの買収に成功し、Googleも寄せつけない韓国ナンバーワン検索事業者として、盤石な地位を手に入れて今日に至っている。
また、NAVERは韓国国内のビジネスを拡充する一方、実は日本進出にも意欲的だった。
2000年9月にはハンゲームジャパン名義で日本法人を設立し、2003年にはNHN JAPAN株式会社に商号を変更。韓国で圧倒的シェアを誇った検索事業を日本でスタートさせるべく、2007年にはNAVER JAPAN株式会社(のちにNHN JAPANとなり、2013年には現在のLINE株式会社となる)を設立し、2009年には日本で検索サービス「NAVER(ネイバー)」を提供開始した。
2001年の時点でも日本の検索事業に進出しているが、2005年に一度撤退していただけに、2009年のサービス開始は2度目の日本挑戦だった。
だが、日本にはGoogleだけではなくYahoo! JAPANという大きな壁があった。韓国で1位を独占していた検索事業さえ、鳴かず飛ばずの苦しい状況が長らく続いたのである。
そんななかで登場したのが、NHN JAPANが中心となって開発したとされるLINEだった。
LINEとNAVERの関係性については河 鐘基(ハ・ジョンギ)氏との共著『ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実』(光文社新書)でも詳しく紹介しているが、日本でことごとく煮え湯を飲まされていたNAVERにとって、LINEは起死回生の一手であり、今やLINEはNAVERには欠かせないものとなったのだ。
そんなLINEがヤフーと経営統合することで、今後どのようなシナジー効果が生まれるだろうか。
韓国のNH投資証券アン・ジェミン研究員はこう展望している。
「モバイルメッセンジャー(LINE)とポータル(Yahoo! JAPAN)が結合すると、検索、ニュース、モバイルメッセンジャー、決済、ショッピング、コンテンツなど、インターネット・ショッピング・フィンテック・コンテンツ産業を網羅する強力な競争力を確保することができる」
その可能性に韓国も注目しているヤフーとLINEの経営統合。来年10月までに統合完了を目指す、今後の展開に注目したい。
(文=慎 武宏)