11月1日に創立50周年を迎えたサムスン電子だが、最近は業況が悪化し、苦戦が続いている。特にスマートフォン部門で、相次いで品質の問題が浮上している。
1969年に小さな電子会社(サムスン電子工業株式会社)として始まり、半導体、スマートフォン、テレビ、冷蔵庫などの電子・家電製品を中心に、今では世界屈指の大企業へと成長を遂げたサムスン電子。その歩みはグローバル市場で関心と牽制の対象になった。
特に半導体やスマホ部門では名実ともにNo.1を記録し、韓国経済を牽引している。
半導体メモリDRAMは27年間、NAND型フラッシュメモリは17年間も1位をキープし、スマホの世界シェアも8年連続で1位だ。テレビも2006年に1位となると13年間、その座を守り続けている。サムスン電子は圧倒的な実績を背景に、“超格差”という言葉を強調しながら高い技術力を誇ってきた。
しかしNo.1企業という看板がかすんでしまうほど、現在の状況は良くない。
業績不振、業況悪化の危機、日本の輸出規制に続き、最近はスマホ部門で品質リスクを抱えている。
まずギャラクシーS10とギャラクシーノート10にシリコンケースを使用すると、登録されていない指紋を使ってもロックが解除されるエラーが発覚し、セキュリティ問題が議論された。サムスン電子はソフトウェアの更新で、指紋認識エラーを解消した。
しかし今度は、世界初の“折りたたみスマホ”ギャラクシーホールドの液晶不良の問題が浮上。他にも、ギャラクシーS10 5Gの広告のために衛星を宇宙に打ち上げるパフォーマンスを行ったが、アメリカのとある住宅に不時着する危険な事故を起こしたりした。幸いなことに人命の被害はなかったが、看過できない問題だろう。
【画像】サムスンの“折りたたみスマホ”に不具合発生?ネットで話題に
業界は、急速に成長して「超格差の技術力」を誇示してきたサムスン電子が革新にこだわるあまり、品質管理を適切に行うことができなかったのではないかという憂慮の視線を送っている。
「世界初」「第1位」「技術超格差」などの名声を得るために、急いで新製品を出したことで、さまざまな問題が発生しているという指摘だ。
何よりもサムスン電子にとって重大な課題は、リーダー不在を防がなければならない点にある。
イ・ジェヨン副会長は、朴槿恵前大統領の罷免につながった贈収賄スキャンダルと関連し、昨年2月の控訴審で懲役2年6月、執行猶予4年を宣告されて釈放された。しかし8月、最高裁が賄賂額を追加で認めなければならないという趣旨で、事件をソウル高裁に差し戻し、二審裁判を再び受けることとなった。
その裁判の影響でリーダーが不在になれば、現在サムスンが直面している不確実性はさらに大きくなり、グループ内の懸案を解決するうえでも支障が生じる可能性が高い。
大手企業の成績を多角的にスコアリングする「CEOスコア」のパク・ジュグン代表は、「イ・ゴンヒ体制当時は、グローバル企業に追いつくことが急務だったが、現在のイ・ジェヨン体制からは1位の座を守ることが重要な課題となった」と話す。
続けて彼は「過去イ・ゴンヒ会長が経営を指揮した時代は、サムスンが1位になるとは誰も予想できなかった。それでもサムスンは困難な課題を乗り越えて、No.1になった。しかし、いざ1位になってみると、その地位を守るために新たな動力を探すことが急務となった」と説明した。
また「1位を目標に追いかける時代は熱心にすればいいが、今はそうではない」とし、「現在グローバル経済規模が大きくなり、1位が得る利益と2位のそれには格差が大きい。現在は1位でなければ生き残れないほど、勝者が独占する構造だ」と指摘した。
そして「サムスン電子からすれば1位を守らなければという焦りが生じざるを得ない。今後も経済は厳しくなるため、新たな動力を探し続けなければならず、緊張状態が続くだろう」と付け加えた。
前へ
次へ