セクハラに抵抗して男性の舌を噛んで切断した女性の行動は「刑事処罰の対象ではない」と警察が判断したことが、韓国でちょっとした話題になっている。
釜山(プサン)南部警察署は今年7月に発生した「ファンリョン山舌切断事件」を捜査した結果、こうした結論を下したと発表した。
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この事件は7月19日9時25分頃、釜山市南区のファンリョン山通りで起きた。駐車してあった車の中で女性が男性の舌を噛み、舌先3cmほどを切断した事件だ。
女性A氏は「男性B氏の強制わいせつ行為に抵抗する過程での正当防衛」を主張し、逆に男性B氏は「そもそも合意による行為だった」とし、むしろ女性A氏を重傷害として処罰するよう主張した。
警察はこの事件を捜査した結果、B氏のセクハラ事実が確認されたという。「ドライブレコーダーや防犯カメラについて捜査を行い、こうした結論を下した」というのが警察の発表だ。
また、警察は女性A氏の行為は処罰対象ではないとした。
正当防衛審査委員会を開いた結果、「舌の切断」は正当防衛を超えた「過剰防衛」ではあるが、韓国の刑法21条3項により免責される行為と判断したという。刑法第21条3項は「防御行為が程度を超えた場合で、その行為が夜間に発生したり心理的に不安な状態で恐怖、驚愕、興奮、当惑で発生した場合には処罰しない」と規定している。
韓国法曹界ではこれを「免責的過剰防衛」と呼んでいるという。警察は「このような判断は性犯罪に対する女性の防衛範囲を提示したという点で意味がある」としている。
驚きなのはこの事件と警察の判断を機に、かつての事件が俎上に上がったことだ。
自分に性的暴行を加えようとした男性の舌を噛み、重傷害罪で懲役刑を言い渡された70代の女性チェ某被告が、56年ぶりに再審を請求し、裁判が進められており、注目を集めている。
チェ被告は1964年5月6日、自分に性的暴行を加えようとした相手C氏(当時21歳)の舌を噛んで1.5cmを切った容疑(重傷害罪)で、釜山地裁で懲役10カ月、執行猶予2年の判決を受けた。
チェ被告は性的暴行に抵抗した正当防衛であることを主張したが裁判所は認めず、むしろC氏には強姦未遂を除いた特殊住居侵入・特殊脅迫の容疑で、チェ被告より軽い懲役6カ月、執行猶予2年を言い渡していた。
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