サムスントップの逮捕状棄却で起こる変化は?検察の再請求は困難に

2020年06月09日 社会 #サムスン
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不法な“経営権継承”疑惑を受けているサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の逮捕状が6月9日に裁判所で棄却され、今後の変化について関心が高まっている。

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イ・ジェヨン副会長の逮捕状が棄却されながら、サムスン側は一息つくことになったが、検察側は1年7カ月間も続けてきた捜査の動力を失うこととなった。

ソウル中央地裁のウォン・ジョンスク令状担当部長判事は同日2時頃、資本市場法違反(不正取引および相場操作)の容疑、外部監査法違反の容疑で請求されたイ・ジェヨン副会長の逮捕状を棄却した。

ウォン部長判事は「基本的な事実関係は釈明され、検察はこの間の捜査を通じてすでに相当程度の証拠を確保したものとみられる」とし、「非拘束裁判の原則に反して被疑者を拘束する必要性と相当性については、釈明が不足している」と説明した。

(写真提供=共同取材団)6月8日、ソウル中央地裁に出頭したサムスン電子イ・ジェヨン副会長

この日、同時に請求されたチェ・ジソン元サムスン電子副会長兼未来戦略室長、キム・ジョンジュン元サムスングループ社長兼未来戦略室チーム長の逮捕状もすべて棄却された。

イ・ジェヨン副会長とチェ元室長、キム元チーム長などは、資本市場と金融投資法に関する法律の不正取引および相場操作行為、株式会社などの外部監査に関する法律違反の容疑などを受けている。

これに対して検察は、サムスンがイ・ジェヨン副会長の有利になるようにサムスン物産と第一毛織の合併を成功させようと相場操作を行ったとし、合併後はこれを正当化するために4兆5000億ウォン(約4500億円)台のサムスンバイオの会計詐欺を行ったと判断した。

しかしイ・ジェヨン副会長側は、朴槿恵(パク・クネ)政権の経済民主化関連立法に対応するために事業構造を再編する過程で生まれた付随的な結果だと、容疑を否認した。

逮捕状の再請求は難しい状況

逮捕状が棄却され、検察は物足りなさを表わした。

検察側は同日2時頃、イ・ジェヨン副会長などサムスンの元・現職幹部3人の逮捕状がすべて棄却された直後、「事案の重大性、今まで確保された証拠資料などと照らし合わせてみても、裁判所の棄却決定を残念に受け止める」とし、「ただ令状裁判の結果と関係なく、法と原則に基づいて今後の捜査に万全を期する予定」と明らかにした。

イ・ジェヨン副会長は同日2時40分頃、京畿・義王(ウィワン)市にあるソウル拘置所の正門に姿を現した。逮捕状が棄却されたことに関する取材陣の質問に、「遅くまでご苦労様でした」とだけ短く答え、正門前に待機していた黒い乗用車に乗り、その場を去った。

(写真提供=共同取材団)

この日、イ・ジェヨン副会長の弁護人側は「裁判所の棄却事由は、基本的な事実関係のほか、被疑者の責任の有無など犯罪容疑が釈明されず、拘束の必要性もないという趣旨」という解釈を明かし、検察側の強引な捜査手法を批判した。

なお検察は、イ・ジェヨン副会長の逮捕状を再請求するか、不拘束起訴するかなどの案を検討する予定だ。しかし再請求のためには新しい容疑が必要で、すでに長期間にわたって捜査を続けてきただけに、追加調査を行うのは負担が大きい状況といえる。

さらにイ・ジェヨン副会長側も起訴するかどうかの判断を外部の専門家に任せてほしいとし、検察捜査審議委員会の招集を申請した状態であるため、困難が予想されるという視線が少なくない。

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