ベント監督はパスに長けたボランチを起点に試合を展開し、ボール支配率を高め、チャンスを作る“ビルドアップ”を強調してきた。
フィジカルの強い選手よりは、テクニックがあり、足元でダイナミックなサッカーを展開する選手を選んだ。
ベント監督はそれを「我々の哲学と原則」と表現する。
今回はその傾向がさらに強まった。ソク・ヒョンジュンとムン・ソンミンが抜けたのが代表的だ。
190cmの長身FWソク・ヒョンジュンは、ベント監督赴任後、ほぼ唯一のポストプレーが可能なアタッカーとしてグラウンドを駆け回った。11月20日にオーストラリアで行われたウズベキスタンとの親善試合ではゴールを決めるなど、それなりに結果も出してきた。
しかし、ベント監督は9月のAマッチ召集直後に負った足首の怪我から復帰し、所属チームで復帰戦を終えたばかりのチ・ドンウォンを選んだ。ソク・ヒョンジュンは空中戦には強いが、有機的な攻撃が可能なチ・ドンウォンが“ベント・スタイル”にふさわしいという判断だ。
ベント監督はメンバー発表記者会見で、「9月に2試合に出場したチ・ドンウォンの動きが良かった。我々のプレースタイルによく適応していた」と説明した。
一方、今年6月にロシア・ワールドカップの最終メンバーに電撃選出され、勢いに乗ったムン・ソンミンも大胆に外した。
ウズベキスタン戦で見事なゴールを決めていたので、彼の脱落は少々意外だった。
ベント監督は、「ムン・ソンミンのようなウィンガーたちは、FWとしても攻撃的MFとしてもプレーできるかどうかを見た。また、狭いスペースのなかでも相手守備を突破する能力もチェックした」と、マルチプレーヤーの資質がムン・ソンミンが脱落した理由であると説明した。
今回のアジアカップではソク・ヒョンジュンの高さ、ムン・ソンミンのスピードといったオプションは消された。
アジアカップメンバーのもう一つの特徴は“経験”だ。